ハイエンドから主流へ 「プレミアムインテリジェントドライブ」が市場競争の新たな焦点に
中国の自動車市場は、価格競争からインテリジェントドライブ競争に移行しつつあります。まずは中国の新興電気自動車(EV)メーカーの小鵬汽車(シャオペン)と広州汽車集団(GAC)のEVブランドAION(アイオン、埃安)が「インテリジェントドライブの低価格化」に着手したことに続き、今年初めに長安、比亜迪(BYD)、吉利(ジーリー)などの自動車メーカーも相次いでインテリジェントドライブ普及戦略を発表しました。この動きは、テスラの「フルセルフドライビング(FSD)」システムの中国での展開とも重なるもので、インテリジェントドライブは現在、自動車インテリジェント化競争の焦点になっています。多くの業界関係者は、2025年は「インテリジェントドライブ元年」になると見ています。
△吉利ギャラクシーL6とE8
ジーリーは3月3日に行った全方位AIスマート戦略発表会で、インテリジェントドライブソリューションの「千里浩瀚」を発表しました。同社の淦家閲最高経営責任者(CEO)は、「『千里浩瀚』はジーリーがエンドツーエンド、VLM、世界モデルなどのAI技術を通じて形成した統一されたスマートモビリティーソリューションで、ジーリーの全ブランドの各価格帯の車種をカバーし、インテリジェントドライブの『平等(適用)』と『安全性』を真に実現する」と述べました。
長安汽車はこれに先立ち、スマート化戦略の「北斗天枢2.0計画」を発表し、2025年からはインテリジェント化されていない新製品を開発せず、全モデルにインテリジェントドライブインターフェースを標準装備し、今後3年内に35種類の新しいインテリジェント化自動車を発売すると発表しました。15万元台(約308万円)の「深藍L07」を含めて、まもなく発売されるいくつかの新モデルにはインテリジェントドライブ機能が搭載されるなどでアップグレードされています。長安汽車の朱華栄会長は「今年8月には、10万元台(約21万円)の車種にもインテリジェントドライブ技術を導入する予定だ」と表明しました。
BYDは高度なインテリジェントドライブシステム「天神之眼」を発表しました。王伝福会長兼総裁は、「今後2年から3年で、プレミアムインテリジェントドライブはシートベルトやエアバッグのような必要不可欠な仕様になる」との見方を示しました。
これまでにプレミアムインテリジェントドライブシステムは、高級車だけのハイエンドな装備と見なされていました。中国では7割の自動車消費者が20万元(約410万円)以下の車種を購入しているため、プレミアムインテリジェントドライブに触れる機会が少ない状態でした。プレミアムインテリジェントドライブ技術が低価格帯の車種にも浸透していくことで、新車のセールスポイントが増すと同時に、消費者がより低価格でインテリジェントドライブ技術を体験できるようになります。(ZHL、鈴木)
3月21日ニュース
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