【観察眼】双方を利する“強者”同志の連携
09:29:22 2025-03-14
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 中国ではこのほど、世界初の汎用型人工知能(AI)エージェント「マナス」が発表され、話題を呼んでいる。従来のAI製品とは異なり、マナスはアドバイスの提供だけではなく、複雑なタスクを自主的に計画して実行することで、完全な結果を直接提供することができる。これは、「ディープシーク」に続く、中国AI界のもう一つの革命とされている。新たなAI製品の相次ぐ登場は、中国の技術革新分野における大きな活力を示すものであり、中国と世界各国の科学技術協力のためにより広い空間を提供している。

 こうした成果は偶然の産物ではない。中国では、AIなどの技術革新を駆動力とする産業のモデルチェンジとグレードアップが本格化している。今年の政府活動報告書では、イノベーション主導の発展の積極的な推進と、産業構造の最適化と高度化の促進が明記され、科学技術大国の建設を推進し、重要な国家科学技術プロジェクトの実施を全面的にスタートさせ、重大な科学技術インフラシステムの整備を加速し、優れた革新的な人材の育成を強化する方針が示された。

 相互補完性のある中国と日本の科学技術協力には大きな可能性がある。先日、日本の経済界代表団が訪中した。その際に開かれた中国工業・情報化部との交流会で、同部の熊継軍副部長は、「中国は、新型工業化のさらなる推進と、製造業のハイエンド化・インテリジェント化・グリーン化の発展の絶え間ない深化、そして高度な対外開放の持続的推進を行っており、日本を含むすべての国の企業の中国での発展に良いチャンスを創出している」と述べたうえで、「中日の産業は深く融合し、AI、デジタル経済、新エネルギー、知的製造業などの新興産業分野で協力する見通しが広い」との考えを示した。

 政府レベルでは、新型産業分野での中日の協力を前向きに推進すると同時に、民間での取り組みもすでに静かに始まっている。ハイテク新興産業分野における中日協力の典型的な例として、中国の大手家電メーカーのグリーと、世界的に有名な自動化制御・電子機器メーカーである日本のオムロンの協力が注目されている。両社は、共同で次世代のスマート製造設備を研究・開発し、生産ラインの効率を最適化し、スマートロボットや自動化エンジニアリングシステムの統合などの技術の実用化を推進している。オムロンの技術経験とグリーの製造能力が相互に補完し合うことで、中国の製造業のスマート化と自動化の転換を加速させることが期待されている。“強者”同志による中日の協力は、まだ始まったばかりだが、将来の成果が期待できる。

 グリーとオムロンの協力のように、ハイテク分野での中日協力は相互補完性がある。日本は、精密機器、産業用ロボット、自動車製造、新素材などの分野で世界をリードしており、ハイエンド製造業において分厚いコア技術の蓄積がある。一方、中国は、膨大なデータ資源と市場のフィードバックを頼りに、AI、5G通信などのデジタル経済や新興技術の商業化への応用で急速に発展している。同時に、中国は、世界で最も完全な産業システムを有しており、コスト優位性と迅速な大量生産能力を備え、国の科学技術力と社会資源を総動員させて国家の重点事業に取り組む新体制「新型挙国体制」を通じて重要な技術的ブレクスルーを促進することができる。

 このほど、ヒューマンマシンインタラクションリハビリテーション中日国際共同研究センターが中国科学院深セン先進技術研究院で正式に発足した。これは、深セン先進技術研究院集積所神経工学研究センターと日本の国立電気通信大学が協力して設立した組織で、「パーソナライズされたスマート義肢」や「自主リハビリテーションウエアラブルデバイス」、「少子高齢化社会に向けたロボット技術」などの方向で共同研究を行い、高齢者や障がい者の支援や高齢化社会が直面する問題を共同で解決するという。技術革新の必要性は、それぞれの優位性を持つ二つの科学研究組織を結びつけているのだ。

 習近平国家主席と石破茂首相は、昨年、初めて会合を行い、中日両国が戦略的互恵関係を共同で推進することで合意した。この共通認識の下、“強者”同士、力を合わせて技術革新を共同で推進している。活力に満ちた中国の科学技術革新が、次にいかなる目新しい成果を生み出し、それに伴っていかなる協力の可能性が生まれるのか、注目していきたい。(CRI評論員)

3月21日ニュース

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