<全人代>日本の専門家が読み解く政府活動報告 「経済を押し上げるシグナル」
02:04:20 2025-03-10
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 世界の注目を集める中国の経済政策。その方向性を示す「政府活動報告」が、5日に開幕した第14期全国人民代表大会第3回会議で発表されました。今年は「より積極的で効果的な財政政策の実施」「各地の実情に即した新たな質の生産力の発展と現代的産業体系の整備」などが提起され、日本の専門家もこれを前向きに評価しました。

 今年の「政府活動報告」は、2025年の財政赤字のGDP比を2024年の3%から4%前後に引き上げ、政府債務を2024年より2.9兆元増額する方針を打ち出しました。また、預金準備率と政策金利の適時引き下げなどの金融緩和政策の実施も示されました。

(左)拓殖大学大学院経済学研究科田中修客員教授(中央)桜美林大学大学院国際学術研究科山田周平特任教授(右)日本国際貿易促進協会泉川友樹理事兼事務局長 

 これについて、拓殖大学大学院経済学研究科の田中修客員教授は「経済を押し上げるシグナルを発したもの」とポジティブに評価しています。また、「地方の再融資債2兆元は、融資プラットフォームの隠れ債務を法定債務へと置換えるのに活用される」と増額された政府債務の使途に注目し、「財政支出をリスク軽減のために大胆に使用することは、中国経済の強靭性を高める」と高く評価しました。

 桜美林大学大学院国際学術研究科の山田周平特任教授は、今年の消費者物価の上昇幅を2024年の3.0%から2.0%前後に引き下げたことに注目し、「非常に現実的な対応」と評価しました。さらに、「AI+」など産業の高度化や、デジタル経済のイノベーション推進については、「中国経済の潜在成長率を高めるには、技術革新による全要素生産性の向上が不可欠。ハイテク振興を推進する中国政府の方針は的確だ」と述べました。

 日本国際貿易促進協会の泉川友樹事務局長は、「赤字国債や特別地方債などを拡大し、景気を下支えするという政府の明確な意志を感じた」と述べ、「旧来型の産業を支える一方で、新興産業の育成を非常に重視している姿勢が鮮明であり、長期的視野に立った政策だと感じた」と前向きに評価しました。(記事:王小燕、校正:鳴海)

3月21日ニュース

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