2月5日（水）午前9時時点の統計によると、この春節連休（1月28日～2月4日）に公開された全作品の興行収入はトータルで95.1億元（約2017億円）、観客動員数はのべ１億8700万人に達し、いずれも史上最高を記録しました。連休を制したのは、2019年に空前の大ヒットを記録した国産アニメ映画『哪吒之魔童降世（映画祭用邦題：ナタ～魔童降臨～）』の5年半ぶりとなる続編『哪吒之魔童閙海（Ne Zha 2）』。本作の初動記録は31億元（約660億円）で、2月5日時点の興行収入は50億元（約1060億円）の大台を突破し、前作『哪吒之魔童降世』を超えて中国本土で公開されたアニメ映画として歴代１位に。春節映画としてアニメ作品が１位を獲得するのは史上初の快挙です。また、名探偵コナン劇場版第７作『名探偵コナン  迷宮の十字路（中国題：名偵探柯南：迷宮的十字路口）』がトップ10をキープし、中国本土で５週連続トップ10入りというロングヒットを達成。なお、今年1月1日～２月４日の全作品の興行収入は100億元（約2110億円）を突破し、中国本土は北米を抜いて世界最大の映画市場となりました。

単位：万元

～作品紹介～

【1位】哪吒之魔童閙海（Ne Zha 2）
公開日：2025年1月29日
監督：餃子（ジャオズ）
主演（吹替）：呂艶婷（ルー・シエンティン）囧森瑟夫（ジョセフ）瀚墨（ハン・モー）

　今年の春節映画商戦を制したのは、2019年に50億元（約1077億円）の興行収入をたたき出し、年間チャート1位に輝いた国産アニメ映画『哪吒之魔童降世（映画祭用邦題：ナタ～魔童降臨～）』の5年半ぶりとなる待望の続編『哪吒之魔童閙海（Ne Zha 2）』。興行収入はすでに前作を超える大ヒットとなっています。本シリーズは『西遊記』や『封神演義』などの神怪小説に登場する反逆児＝哪吒（ナタ）を主人公に描くCGファンタジー大作で、シリーズ通して、短編アニメ映画『打，打個大西瓜（See Through）』などで知られる若手アニメ監督の餃子（ジャオズ）が手掛けています。哪吒は托塔天王（李靖）の三男として知られる少年戦神で、中国では誰もが知る人気キャラクターですが、本シリーズでは哪吒の物語を、現代社会の価値観を融合させて大胆に脚色し、幅広い世代の共感を呼び起こすストーリーに仕上げています。前作で描かれた天地を覆す大災難「天劫」の後の世界を舞台に、太乙真人（『封神演義』にも登場する仙人）によって肉体を蘇生された哪吒と敖丙（東海竜王・敖光の息子）の新しい運命を描いています。

【2位】唐探1900（Detective Chinatown 1900）
公開日：2025年1月29日
監督：陳思誠（チェン・シーチェン）戴墨（ダイ・モー）
主演：王宝強（ワン・バオチャン）劉昊然（リウ・ハオラン）周潤發（チョウ・ユンファ）白客（ホワイト・ケイ）

　映画×ドラマの作品群で構成される「唐人街探案（唐人街探偵）」ユニバースの待望の最新作『唐探1900（Ditective Chinatown 1900）』が2位を獲得！このシリーズは、世界中のチャイナタウン（＝唐人街）を舞台に、劉昊然（リウ・ハオラン）演じる天才青年と、王宝強（ワン・バオチャン）演じる叔父という「ぎこちない」探偵コンビが事件を次々と解決していくもので、過去には妻夫木聡や長澤まさみが出演した『唐人街探偵 東京MISSION』をはじめとするシリーズ作品が日本で公開されています。第4弾となる本作は、1900年の米サンフランシスコのチャイナタウンを舞台に描かれる、シリーズの前日譚にあたる物語。王宝強が演じる中国系インディアンの賞金稼ぎ・阿鬼と、劉昊然演じる中国人留学生が、とある殺人事件をきっかけに知り合い、探偵コンビとして事件捜査を始める顛末を描いています。

【3位】封神第二部：戦火西岐（Creation of The Gods Ⅱ: Demon Forces Demon）
公開日：2025年1月29日
監督：烏爾善（ウー・アルシャン）
主演：黄渤（ホァン・ボー）于適（ユイ・シー）那爾那茜（ナルナシ）費翔（クリス・フィリップス）娜然（ナー・ラン）呉興国（ウー・シングオ）陳牧馳（チェン・ムーチー）夏雨（シャー・ユイ）

　時代劇ファンタジー「封神」シリーズの第2弾『封神第二部：戦火西岐』が３位に初登場！シリーズ第1弾の『封神第一部：朝歌風雲』は2023年夏に公開されて大きな話題を呼び、同年秋には「封神～嵐のキングダム～」の邦題で東京国際映画祭の関連イベントとして開催された「2023東京・中国映画週間」と「2023大阪・中国映画週間」に出品されました。『封神演義』は『西遊記』などと同様、中国で有名な伝奇小説の一つで、これまで何度も映像化されてきました。小説は殷代末期の殷周革命の動乱を舞台に、仙人や道士、妖怪が人界と仙界を二分して大戦争を繰り広げるという物語で、「封神（ほうしん）」とは、殷周革命で死んだ365人を「神」として「封（ほう）」じる儀式を指します。本作では、主人公・姜子牙と姫発が率いる西岐軍が自国を守るために、紂王と死闘を展開するエピソードを描いています。

【4位】射鵰英雄伝：侠之大者（The Legend of the Condor Heroes: The Great Hero）
公開日：2025年1月29日
監督：徐克（ツイ・ハーク）
出演：肖戦（シャオ・ジャン）荘達菲（ジュアン・ダーフェイ）

　数々の時代劇アクションの名作を世に送り続けてきた徐克（ツイ・ハーク）が2025年の春節映画商戦に参戦！今回届けるのは、これまで中華圏で何度もリメイクされてきた名作中の名作『射鵰英雄伝』。『射鵰英雄伝』は中華圏で誰もが知る人気小説家・金庸の武俠小説の代表作で、13世紀初頭、南宋と金が対峙し、北方で蒙古族が台頭しつつある時代を背景に、若者の郭靖が恋人の黄蓉と共に旅をして江湖の荒波に揉まれながら人間的に成長していく姿を描く内容となっています。今回の映画は、小説の第34～40章を中心に、最高の武術「九陰真経」「降龍十八掌」を身につけた郭靖が黄蓉と共に、切迫する情勢の中で自らの運命を切り開く物語を描いています。主役の郭靖と黄蓉を演じるのは、ドラマ『陳情令』や『斗羅大陸』『男たちの勲章』などによりトップスターとなった肖戦（シャオ・ジャン）と、大ヒット映画『年会不能停！（Johnny Keep Walking!）』（2023）や『我才不要和你做朋友呢（Be My Friend）』（2024）で印象的な演技を見せた若手の荘達菲（ジュアン・ダーフェイ）です。

【5位】熊出没·重啓未来（Boonie Bears:Future Reborn）
公開日：2025年1月29日
監督：林永長（リン・ヨンチャン）
主演（吹替）：譚笑（タン・シャオ）張秉君（ジャン・ビンジュン）張偉（ジャン・ウェイ）

　春節アニメの定番、「熊出没」シリーズの11作目『熊出没·重啓未来（Boonie Bears:Future Reborn）』が今年も登場！中国東北部の山林地帯に住むクマの兄弟「熊大」と「熊二」、それに坊主頭の木こり「光頭強」とのかけがえのない日々を描くこのシリーズは、2012年にテレビアニメとしてスタートし、親子連れで楽しめる作品として人気を博しました。以降、2015年から年に1本のペースで劇場アニメ化していますが、2017年からは毎年の春節映画として上映されることが定着しました。そして、シリーズの人気は高まり続け、2023年に公開された『熊出没·伴我“熊芯”（Boonie Bears: Guardian Code）』は初めて年間チャートトップ10入りを果たしたほか、昨年春節に公開された記念すべき10作目は初めて年間トップ5入りを果たし、興行収入も20億元（約430億円）の大台を突破しました。本作では、100年後の未来へタイムトラベルした2頭と1人の冒険が描かれます。

【6位】蛟龍行動（Operation Hadal）
公開日：2025年1月29日
監督：林超賢（ダンテ・ラム）
主演：黄軒（ホァン・シュエン）于適（ユイ・シー）張涵予（チャン・ハンユー）段奕宏（ドアン・イーホン）王俊凱（ワン・ジュンカイ）杜江（ドゥー・ジアン）

　春節映画の一つ『蛟龍行動（Operation Hadal）』が一般公開スタート！2016年の『オペレーション･メコン（原題：湄公河行動）』、2018年の『オペレーション：レッド・シー（原題：紅海行動）』に続く「林超賢（ダンテ・ラム）～行動」戦争アクションシリーズの第3弾となる本作は、『オペレーション：レッド・シー』に引き続き、再び中国海軍の活躍を描くもので、「蛟龍小隊」という部隊が最新型潜水艦「龍鯨号」と共に作戦に臨み、東南沿海都市に対する極秘軍事計画を阻止する物語が描かれます。

【7位】誤殺3（Octopus with Broken Arms）
公開日：2024年12月31日
監督：甘剣宇（ジャッキー・ガン）
主演：肖央（シャオ・ヤン）佟麗婭（トン・リーヤー）

　2020年に中国本土21週連続トップ3入り＆年間トップ10入りを果たし、「共謀家族」という邦題で日本上映もされた中国映画『誤殺』と、2021年12月公開の『誤殺2（Sheep Without a Shepherd2）』に続く、3年ぶりのシリーズ最新作『誤殺3（Octopus with Broken Arms）』がロングヒット中！描かれるのは、拉致事件の犯人と、人質となった娘の父親との駆け引きの物語。

【8位】“騙騙”喜歓你（Honey Money Phony）
公開日：2024年12月31日
監督：蘇彪（スー・ビョウ）
主演：金晨（ジン・チェン）孫陽（スン・ヤン）李雪琴（リー・シュエチン）王皓（ワン・ハオ）王耀慶（ワン・ヤオチン）

　日本ではNetflixにて配信中の中国映画『ノー・モア・ベット: 孤注（原題：孤注一擲）』（2023）でヒロイン役を演じた女優の金晨（ジン・チェン）と、話題の犯罪サスペンス『第八個嫌疑人（Dust To Dust）』（2023）に出演した孫陽（スン・ヤン）がW主演するラブコメ『“騙騙”喜歓你（Honey Money Phony）』がトップ10をキープ！詐欺師同士の、詐欺から始まったラブロマンスを描いた作品です。

【9位】小さな私（原題：小小的我）
公開日：2024年12月31日
監督：楊荔鈉（ヤン・リーナー）
主演：易烊千璽（イー・ヤンチェンシー）林暁杰（ダイアナ・リン）蒋勤勤（ジャン・チンチン）周雨彤（ジョウ・ユートン）李庚酉（リー・ゲンユウ）

　2024年10月28日～11月6日に開催された第37回 東京国際映画祭のコンペティション部門でワールドプレミア上映され、同観客賞に輝いた中国映画『小さな私（原題：小小的我）』がトップ10をキープ！脳性麻痺を患う青年が障がいを持ちながらも力強く生きる姿を描いたもので、日本公開も果たした『少年の君（原題：少年的你）』（2019）で知られる人気スター易烊千璽（イー・ヤンチェンシー）が主人公の青年を好演しています。

【10位】名探偵コナン  迷宮の十字路（中国題：名偵探柯南：迷宮的十字路口）
公開日：2024年12月27日
監督：こだま兼嗣 西森章
主演（吹替）：高山みなみ　神谷明　山口勝平　山崎和佳奈　堀川りょう　宮村優子　林原めぐみ　茶風林　緒方賢一　岩居由希子　高木渉　大谷育江

　2003年に公開された名探偵コナン劇場版第７作『名探偵コナン  迷宮の十字路（中国題：名偵探柯南：迷宮的十字路口）』が中国本土でロングヒットを達成！本作は、2016年には歴代映画19作品の人気投票で第1位になるなど、ファンの間では名作として知られています。そのため、中国での21年半越しの公開といえども多くのファンが劇場に足を運んでいます。

（ミン・イヒョウ、梅田謙）