北京
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シリア危機が始まって3月15日で11年が経った。国連が公表しているデータによると、この11年間に少なくとも35万人が命を奪われ、1200万人以上が自宅を追われて国内外での避難生活を余儀なくされ、民間人1400万人が人道支援を必要としている。国連のグテーレス事務総長は、全ての当事者に対し、実際の行動を起こし、政治プロセスを加速させ、シリア国民の11年に及ぶ苦難を終わらせるよう呼び掛けた。
しかし、グテーレス事務総長の呼び掛けは、西側世界ではあまり注目されていない。あれこれ方法を考えてシリアなどの難民の受け入れを拒んできた冷酷さに比べて、西側はウクライナ難民に対しては極めて同情的だ。西側には、外見や肌の色、人種などを判断基準としてウクライナ難民を中東やアフリカの難民に比べて「良質」だと示唆する政治家やメディアさえある。
こうした言論は、西側の根深い人種的偏見と「欧米中心論」の傲慢(ごうまん)さをあらわにしている。「難民対応のダブルスタンダード」や「人道主義ダブルスタンダード」を弄(ろう)し、中東の難民を改めて傷つけている。
米国がシリアやアフガニスタンなどで罪のない人をむやみに殺して人道上の罪を犯した際、西側の一部のメディアや政治家はなぜ憤慨しなかったのか。アフガニスタンに侵攻したのが米国だったからなのか。
米軍はアフガニスタンで許されない犯罪行為を行った。国連のデータによると、20年にわたったアフガニスタン戦争で民間人4万7000人が犠牲となり、340万人が国内避難民となった。昨年8月の米軍撤退後、2300万人が深刻な飢餓状態に置かれ、その95%が日々の食事さえ満足にとれない状況だという。それにもかかわらず、米国はさらにアフガニスタンの人々が汗水垂らして苦労して働いて得た70億ドルを図々しく横領した。これについて、西側諸国はなぜ一言も触れないのか。同情心はどこへ行ってしまったのか。
実際、アフガニスタン戦争からシリア戦争、さらにはウクライナ危機に至るまで、米国は極めて不名誉な役割を演じてきた。誰のことを気にかけ、誰のことを気にかけないか。それは正義とは関係なく、完全に米国の政治家やメディアによる共同操作の結果だ。そうした政治家やメディアにとって、中東難民であれウクライナ難民であれ、政治上の私利を実現し米国の覇権を保つための道具にすぎないのだ。
出身国や人種に関係なく全ての命は平等で貴重だ。11年前のシリア危機から今日のウクライナ危機まで、難民の境遇は心が痛むものだ。難民は、米国式覇権の犠牲となってはならず、平等に人道的な待遇を受けられなければならない。公平性や正義を掲げる西側の政治家やメディアは、傲慢さと偏見を捨てて、中東難民の苦難と訴えを直視し、ダブルスタンダードをやめるべきだ。(CRI論説員)