北京
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中国人民政治協商会議全国委員会(以下、「全国政協」と表記)の委員には、さまざまな分野で活躍する専門家が大勢います。委員一人ひとりが持つ意見や関心を、ピックアップしてご紹介します。
前回に続き、浙江省麗水市中医院(中医学病院)の名誉院長である雷後興委員の、もう一つの取り組みを取り上げます。
全国政協は、中国共産党、8つの民主党派、無党派人士、人民団体、少数民族、および経済、社会、文化など、34分野に分けられており、委員はそのいずれかに所属しています。医療関係者は「医薬衛生」の分野に所属するのが一般的ですが、雷委員は実は「少数民族」の分野の委員です。それは、彼がシェ族(畲族)の出身だからです。
シェ族は中国東南部の沿海地区を中心に分布しています。シェ族が扱う伝統的な医薬品には薬草を煎じて服用するものが多いですが、患部に塗布するタイプの処方も比較的多く、全体の1/4を占めていることが特徴です。また、簡単で効果が高く、コストが低く抑えられるとされていますが、西洋医学の普及に伴って廃れていきました。
雷委員はこのシェ族の医薬品に強い関心を持ち、その研究・開発と保護に力を入れてきました。2007年に「シェ族医薬に関する研究と開発」と題する研究論文を発表しました。また、書籍『中国のシェ族医薬学』を編集し、シェ族の医薬を後世の人へ伝えていくうえでの多大な貢献をしました。
政協委員としての提案にも、少数民族医薬の研究開発や、中医薬法の普及といった内容を盛り込んできました。今年も「公共広告による『中医薬法』の宣伝と普及」や「民族医学のさらなる研究開発と利用」といった提案を用意しています。また、小児科医師として「幼児養育における社会的サポート」について取り上げているほか、「女性の権利」「高齢者医療」など、幅広いテーマの提案を行っています。
雷委員が全国政協委員に選ばれてこれまでの15年間で117件の提案を行ってきました。(取材:王秀閣 校正:梅田謙)