北京
PM2.577
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シンガーソングライター張尕慫(チャン・ガーソン)さん(43)の本名は趙建煜、中国北西部にある甘粛省の出身です。大学時代のある日、学生寮でギターを弾いた時、小さい頃に聞いた奇妙なメロディーが次々と浮かび、止めたくても止められない状態になりました。それで張さんは、故郷に帰って民間のミュージシャンたちを訪ね、彼らの歌とメロディーを探そうと決心しました。
2011年の夏からこの10年余り、張さんは西北部の各地を巡り、民間ミュージシャンらを訪問して勉強しながら作詞作曲し、身の回りのことを西北方言で歌い続けてきました。2020年、医者である張さんの叔母は、新型コロナウイルスの感染が発生した武漢市に赴き、支援を行いました。張さんはそれを基に「甘粛には霞霞さんという医者がいる」という歌を作りました。
次はその中の一節です。
甘粛省には霞霞さんという医者がいます
よく『快手』というアプリで動画を発表しています
自撮りや歌 ピアノ演奏がその内容
しかし お正月はまだ明けていないのに
彼女は新しい動画の公開がありませんでした
見落としたかと思って
関係者に聞いたり 彼女にメッセージを送ったりした結果
彼女は新型コロナとの闘いで武漢に支援に行ったことが分かりました
中国には霞霞さんという医者たちがいます
フルネームは知らないし 顔もはっきりと見えません
彼女たちは「鎧(よろい)」を着て 古代の女性英雄・花木蘭よりたくましいです
一本の大道は武漢につながります
二月には春風が氷と雪を溶かし
三つの頭に六本の腕を持つ神のように感染症と闘い
そしてスムーズにふるさとに帰ってきます
……
この歌はすぐに全国でヒットし、励まされた人々はさらに一丸となって新型コロナウイルスと闘いました。
張さんは、「自分の音楽の源は民間のミュージシャンたちで、自分はただの記録者である」と述べた上で、「どんな歌を歌っても、歌い手が目を輝かせさえすれば、それはいい歌だと判断する」と話しています。(藍、浅野)