【CRI時評】ウクライナ問題を解消するのに必要なのは「火に油を注ぐ」ことではない

　ロシアは現地時間21日、ウクライナ東部の「共和国」2カ国を承認したと発表した。米国はただちに、ロシアに対する金融制裁を宣言した。その他の一部西側国家も、制限に踏み切る考えを示している。中国は国連安全保障理事会がウクライナ問題を巡って開催した緊急会議で、各方面が自制を保ち、緊張を高めるいかなる行為も避けるよう呼びかけた。

　中国は、ウクライナ危機を解決するための、理性ある立場を取っている。北大西洋条約機構（NATO）は冷戦終結後、絶えず東への拡大を図ってきた。NATOがウクライナを吸収すれば、ロシアにとっては安全戦略上の重大な脅威になる。ロシアはそのため、NATOをこれ以上東に拡大させず脅威をもたらす武器を配備しないことを、法的拘束力のある文書で約束するよう、一貫して求めてきた。大国間の駆け引きのはざまにあるウクライナは、主権と国家の安全保障が侵害されることを懸念して、NATOに加盟して保護を受けることに期待を寄せている。そして欧州諸国は、制御不能な戦争に再び巻き込まれることを恐れている。

　ウクライナ情勢が現状に至るまで深刻化したのは、一連の複雑な要素が競合した結果であることが、見て取れる。米国はその中で、扇動者の役割りを続けている。米国政府はここしばらく、いわゆるロシアのウクライナ「侵攻」の情報をばらまき続け、それによって自国内の矛盾から国民の目をそらし、下落しつつある支持率を挽回し、また地政学的緊張を利用して欧州を牽制（けんせい）し、同時にロシアによる安全保障の要求に応じることを実質的に望んでいない考えを隠している。米国がやっているのはウクライナ情勢という火に油を注ぐことだ。

　注意せねばならないことがある。ウクライナ情勢の悪化に直面し、各方面は互いに頑強さを誇示すると同時に、一方では対話や交渉の余地を残していることだ。ドイツのショルツ首相は先日、欧州が再び戦争勃発の危険に直面している中で、外交は依然としてウクライナ問題を解決する手段だと表明した。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアとウクライナが開戦するとの言い方が伝わり続けていることで、ウクライナ経済や民衆の生活に損害が発生していると強調した。

　ウクライナ危機を解消する最善の方法は「火をたきつける」ことではなく、座って話し合うことだ。中国は先ごろ開催された第58回ミュンヘン安全保障会議で、ウクライナ問題については早急にミンスク2という原点に戻るべきだと指摘した。ミンスク2は当事者間の交渉によって締結された合意であり、国連安保理の承認も得たものだ。この合意こそが、ウクライナ問題を解決する唯一の出口だ。中国がミンスク2に戻れと主張するのは、事態そのものに照らしあわせた、是々非々で向き合う立場を取るからであり、国連憲章の趣旨と原則にも合致しており、当事者自身が危機を解消するという努力の方向にも合致している。

　目下のところ、ウクライナ情勢は悪化しつつある。関係当事者は自制を保ち、安全保障は全体として成立させねばならず、一部を分割することはできないとの原則の実現は重要ということを認識し、情勢がさらにエスカレートすることを避けねばならない。米国など外部勢力は、緊張高めパニックを助長するのではなく、説得と対話の促進をせねばならない。世界をよくするために、大国は必ずや手本を示さねばならない。（CRI論説員）