北京
PM2.577
23/19
米バイデン政権は先ごろ発表した「インド太平洋戦略」と題したリポートで、インド洋太平洋地区にさらに多くの外交資源と安全資源を投入して中国を包囲すると宣言した。米国のブリンケン国務長官はこのリポート提出とほぼ同時期に、オーストラリアで開催された日米豪印の通称「クアッド」4カ国による外相会合に出席し、続いてフィジーへの歴史的訪問を行った。ブリンケン長官はオーストラリア訪問にしろフィジー訪問にしろ、太平洋の諸国を抱き込んで中国の影響力を抑止しようとする意図があることを隠していない。
注目に値することは、米国は中国に各種の圧力をかける一方で、「ロシアがいつウクライナに侵攻してもおかしくない」と考えられる限りの誇張をして、ロシアの動きを理由にNATO同盟国と連携してロシアを威嚇していることだ。ロシア政府報道官の言葉を借りるなら、米国の動きは「ヒステリーの極み」だ。米国は武力を見せつけ、“マッチョ”であることを誇示し、世界を分裂させ恨みをかき立てることを露骨に行い、本来ならば良好な状態であるはずの世界を引き裂こうとしている。これが、国連常任理事国がなすべきことなのだろうか。世界のトップ大国が行うべき段取りであり責任の取り方なのだろうか。
世界を見渡しても、米国が「気遣い」をする国が、どこにあると言うのだ。自国のやり方に合致しないだけで、あるいは自国の欲求が満たされないというだけで、盟友であろうがなかろうが思うがままに相手を叩く。これまでのコソボ、イラク、リビア、アフガニスタンへの介入は言うまでもない。同盟国ではないので、好き放題に叩いた。しばらく前にはオーストラリアと手を組んで、同国からのフランスに対する極めて高額な原子力潜水艦の発注を横取りした。このことで、同盟国が互いになじりある新たなパターンが生み出された。最近ではカナダの内政に干渉し、トラック運転手のいわゆる“自由”を支持している。米国の利益に合致しなければ、このような事態はいつでもどの国にも降りかかる。振り返れば、米国な長年に渡り世界に何をもたらしてきたのか。各国の発展を促進する現実的な貢献はどこにあるというのか。全く見当たらない。ただ一つ確実なのは、米国の利益をいかなる国の利益よりも上に置いてきたということだ。
中国には「損人利己(他人に損をさせ自らの利益を図る)」という成語がある。米国は今や、他者の前進の障害となり、損害を他者に押し付ける結果をもたらす、ほとんどありとあらゆることをしている。中国は繰り返し強調する。自らの発展を追い求めることは、いわゆる「世界一」を奪取することではなく、自国の人々に幸せで素晴らしい生活をさせることだ。もしもこの正当な権益をいずれも脅威と見なして、横暴にも阻害するならば、中国国民は決して承服しない。中国の発展を通じて人類運命共同体を共に協議し、共に建設し、共に享受することを望む各国の人々も承服しない。
フィジーのハイユーム首相代理は来訪した米国のブリンケン国務長官に対して気候変動への対応について、米国が負うべき責任と実際の行動に重きを置いて注目していると明言した。フィジーは自らの状況からして米国と徒党を組むことには関心がなく、米国はフィジーがより強い関心を持つ気候変動、自然災害、新型コロナウイルス感染症などの問題を意識する必要があると分析した人もいる。
平和と発展が現在のアジア太平洋地区の、さらには世界の主流だ。全世界が新型コロナウイルス感染症による厳しい試練にさらされている現在はなおさら、各国は団結し、運命を共にして困難を克服せねばならない。米国は今、アジア太平洋地区の盟友を取り込んで中国を包囲し、欧州ではロシアの脅威を吹聴し、恐怖と対立を作り出している。米国は悪感情を他国に向けようと努めている。結局のところ、そのことは誰の利益と合致しているだろうか。(CRI日本語部論説員)