北京
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新年早々の1月17日、中国の習近平主席、そして日本の岸田文雄首相が世界経済フォーラムが開いたオンライン会議「ダボス・アジェンダ」に出席し、演説した。フォーラムで岸田首相が成長と分配を好循環させる「新しい資本主義」への日本の取り組みをアピールした。
まず岸田首相がどのような背景で「新しい資本主義」を主張したのかを見てみよう。安倍政権が打ち出した大胆な金融緩和政策によって、日本は90年代のバブル崩壊後の長期低迷状態からは抜け出したが、貧富や格差拡大が進んだ。現在、日本の生活保護受給者数は、240万人に達している。菅義偉政権の1年間も、安倍政権による「経済成長率が伸び、貧富や格差拡大が広がる」という社会問題は変わらなかった。岸田首相は所信表明演説で「新資本主義」を実施する政権戦略を打ち出した。その核心は、「成長と分配の好循環」を実現し、分配制度の改革を通じて国民の所得増を実現するとともに、所得の増加を通じて消費を牽引し、日本国内の経済発展を促すことだ。国民所得の増加に向けた岸田首相の主な取り組みは、税政策の見直しによる一人親世帯、子供のいる世帯、低所得世帯への家賃、教育費などに対する政府の現金補助の拡大、労働制度改革による格差是正、中間層の拡大、「令和版所得倍増」の実現である。
岸田首相の「新資本主義」の主張は発表された直後から、日本社会の普遍的な疑問にさらされた。分配施策では、賃上げする企業に法人税を優遇する。ただ、安倍政権が取り組んだ税制優遇も十分な効果がなかった。赤字でも賃上げする中小企業には補助金を出すというが、持続的な分配につながるかが疑問視されている。企業の競争力向上を促す中長期の戦略にこそ力を入れる必要がある。岸田首相は「人への分配はコストではなく、未来への投資」と述べた。効果的な投資とするには、財源の裏付けがあってこそである。目玉とされる子育て世帯への支援では、18歳以下を対象に1人10万円相当の給付を行うという。バラマキへの批判に配慮し、年収960万円の所得制限を導入するものの、事実上、全体の約9割が対象となるのでは、バラマキにほかならない。現金給付は貯蓄に回りやすく、消費を活性化する効果は乏しいとの指摘が多い。
習近平国家主席は「ダボス・アジェンダ」で、中国の「ともに豊かになる」とは何かを世界に向けて説明した。その中で、習主席は「中国はともに豊かになる社会を構築したいが、平均主義を行うのではなく、まず『ケーキ』を大きくし、それから合理的な分配制度を通じて『ケーキ』をきちんと分ける。つまり、発展の成果をより多く、より公平に全国民に恩恵をもたらすようにしなければならない」と語った。
習近平主席の演説の当日、2021年の中国経済の実績が発表され、2021年の中国経済総量が世界経済に占める割合は18%を超え、世界経済成長への貢献率は約25%に達していることが分かった。中国経済の発展は世界経済の回復を推進する重要なエンジンになっている。
未来に向けて、中国は引き続き各国と肩を並べて同行し、開放の中でチャンスをつくりだし、協力の中で難題を解決し、世界経済を一日も早く安定した回復軌道に乗せるよう推進し、質の高い発展や強靭な発展に向けて前へまい進してゆく。(日本語部論説員)