【観察眼】どんなに資産があっても浪費すればなくなってしまう

2022-01-12 20:26  CRI

 今年は中日の国交正常化50周年だ。しかし新年が始まって早々、日本では中日関係に関連する極めて異常な動きが続出している。日本は日米同盟における自国の役割りを大幅に調整しただけでなく、いわゆる「志を同じくする」仲間と、中国に矛先を向ける各種の合意をした。

 先日行われた日米双方の外相と防衛相による「2プラス2会議」で両国は、釣魚島が日米安保条約第5条の適用対象になることを改めて申し合わせ、さらに台湾や新疆、東海など多くのデリケートな問題に言及した。日本は台湾海峡地区のいわゆる「軍事的脅威」に対処するために、日米軍事同盟と米軍への支援を強化することを約束した。米国は日本が軍事面で抑止力の強化に努力することを、強く期待している。米国のブリンケン国務長官は会談中、日米同盟は今日、過去になかったほど強固なものになったと発言した。その本心は明らかであり、表現は露骨だ。両国にとってまたしても、中国が「目の上のたんこぶ」になったということだ。

 日本のメディアはこの会談について、大量の報道を行った。「産経新聞」は、米国にとって同盟国である日本がますます重要になったということは、先行きが不透明な世界情勢に米国が直面していることを反映していると論じた。時事通信はさらに単刀直入に、日米が連携して中国に対抗し、さらに自衛隊の役割増大や日米の軍事一体化、あるいは米軍が「矛」であり自衛隊が「盾」という従来の日米同盟の構図を変えようとする狙いがあると喝破した。その言葉の意味するところは、これ以上ないほど明確だ。日本は「永遠の弟分」であることに甘んじていられなくなり、存在感を際立たせようとするようになったということだ。

 日本は日米同盟以外でも、その他の二国間あるいは多国間の場を通じて、中国に関わる議題を絶えずあおりたて、その他の「志を同じくする」国との軍事協力を急いでいる。日本は米国との「2プラス2」会議と同時期に、オーストラリアと軍事協力を強化する協定を結んだ。ドイツメディアはこの協定について、その影響は奥深いと論評し、日豪双方にはさらに多くの軍事協力を進めたい意向があることを表明したとして、中国の台頭に対する反応であることは疑いがないと分析した。

 中日両国には歴史や領土の問題で立場が対立しており、短期間で調整することは困難だ。長期的に見ても任は重いが道は遠い。両国間に時に摩擦が生じたり、場合によっては激烈な論争になることも不思議ではない。しなしながら結局のところ、激烈な手を打ったり相手に傷まで負わせるような事態は発生してこなかった。しかし日本は現在、多方面の手を打ち、じりじりと歩を進めている。これでは、強く警戒せざるを得ない。日本は人権問題を専門に担当する首相補佐官を設け、新疆や香港の問題において中国を牽制(けんせい)し圧力をかけようとしている。釣魚島の問題では、「島防衛」の演習を繰り返し行い、南西諸島の防衛力を強化している。最もデリケートな台湾問題では、従来の適度に慎重な態度を放棄して大胆な姿勢を示し、日米の軍事一体化を加速することで台湾海峡情勢への介入を望むことすらしている。

 しかし実際には、中国を圧迫したことについての「勘定書き」は、岸田政権に回される性質のものではない。大多数の状況は、菅義偉政権の対中政策が延長されたものだ。菅前首相は在任時、日本の国内政治がさらに右傾化する状況下で、中国の発展は日本にとっての最大の「現実的脅威」とますます見なすようになり、台湾海峡関連への介入と中国に対する圧迫を加速する冒険に出た。岸田政権はその「滑走路」を進んでいる。状況を逆転する気持ちがあったとしても、そのために力を発揮するのは困難だ。

 11日は岸田政権が発足して100日目だった。この100日間の執務状況を見れば、岸田政権の動きには警戒せざるをえない消極的な一面がある。しかし同時に、「隣国として、中国との安定した関係の構築を模索せねばならない」とも強調している。仮にこれが、時勢を見極めた理性による態度表明ならば、間違いなく賢明な姿勢であり、人々に歓迎されるだろう。中日関係の今後の発展に一筋の福音をもたらすと信じることができる。そして、この主張が言葉の上でのごまかしだったり、実際には裏腹な行動を取ることがないよう願う。

 米国のピュー研究所が昨年に実施した世論調査によれば、先進国17カ国の中でも日本では、中国に対して否定的な見方をする人が最も多く、米国の76%を10ポイント以上も上回る88%にも達した。これは心が痛む数字だ。中日関係には分厚い歴史の積み重ねがあり、現実面でも多くの利益が合致している。しかしどんなに莫大な資産も浪費されてしまったのではたまったものでない。「長期に渡る安定推移」がこの1年に、しっかりと実現することを願う。(CRI日本語部論説員)

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