北京
PM2.577
23/19
先日、中国の「ライブコマース女王」ことインフルエンサーのウェイヤーによる脱税が摘発された。このことは、中国国内だけでなく、日本の多くのメディアにも取り上げられた。一部の日本メディアは脱税という事実の詳細を顧みず、「中国の共同富裕政策」と強引にリンクさせ、中国政府が富裕層への締め付けを強化しているなどと主張している。こうした偏向的な報道は明らかに色眼鏡をかけて中国を見ており、冷静に物事を考えられる多くの日本のネットユーザーからも批判されている。
このニュースの事実を改めて振り返ると、ライブコマース女王の黄薇(ハンドル名:ウェイヤー、viya)は2019年から2020年までの間に、個人収入を隠匿し、企業所得に見せかけて虚偽の申告をするなどして6億4300万元(約114億円)の脱税をしたほか、その他の支払うべき税金6000万元(約11億円)が未納だった。そのため、中国杭州市税務局は、法に基づいて追徴金と罰金として計13億4100万元(約239億円)を科すと決定したことを明らかにした。
日本のメディアはここ数年、中国のインターネット経済の活況に注視しており、毎年のように11月11日(ダブルイレブン)に行われる大規模セールを報道し、年々右肩上がりの成約額に衝撃を受けている。NHKは今年4月、中国の「ライブコマース女王」ウェイヤーを「クローズアップ現代+」に招いたこともあり、少なからず日本国民もウェイヤーのことを認識している。今回の脱税案件で罰金を科されたことは、当然のことながらいち早く日本の各ニュースサイトに取り上げられた。ただ、ニュースの盗用なのか模倣なのか、複数の日本メディアが記事の見出しや末尾で申し合わせたように「富裕層叩き相次ぐ中国」「『共同富裕』を掲げた中国政府の締め付けはネット上で高収入を得る有名人にも及んでいる」などのコメントを添えた。
この明らかに偏った報道に対し、冷静に物事を考えられる一部の日本のネットユーザーは中国のデジタル経済の規模に驚くと同時に、書き込みの中で次々と疑問の声を上げている。「報道内容が可笑しい。脱税はどの国でも犯罪だし、富裕層こそ税金をきちんと払わないといけない。富裕層叩きと関係ないだろう。日本の国税調査もやっているが、これが富裕層叩きと言えるのか?」「日本のメディアは脱税の詳細は一切書かない。脱税者を可哀想に見せている。こんな脱税金額の場合、日本であればどう処置するかな」などといったコメントが集まった。
一部の日本メディアがインフルエンサーの脱税と「共同富裕」を強引に結びつけることについては不可解で、「共同富裕」の実質的な内容について十分に理解できていないように思われる。中国政府が再三強調しているように、「共同富裕(共に豊かになる)」とは、勤勉に働いて豊かになり、起業・イノベーションを通じて豊かになることを奨励し、一部の人が先に豊かになることを認め、先に豊かになった人が後に豊かになる人を助けることを奨励することであり、「富裕層の富を奪って貧困層を救済する」ことではない。ウェイヤー自身はまさに「共同富裕」政策の受益者であり、起業・イノベーションを通じて豊かになる手本を示していた。彼女自身とそのチームは地道な努力を通じてライブコマース女王の座に上り詰め、多くの若者にとって理想的な職業イメージとなった。彼女の成功は国の刺激策と支持をなくしては考えられない。
ここ数年、中国税務部門は新経済・新業態に対する税収監督管理とルール化を強化し、ビッグデータを十分に活用し、多くの脱税案件を調査し、重大案件を摘発している。ウェイヤーの脱税案件は決して個別な脱税案件ではなく、「高所得の著名人」というレッテルによるものでもなく、その脱税が不法であるという明らかな事実によるものだ。この脱税案件が摘発された後、ウェイヤーは中国版ツイッター「微博」で謝罪文を発表し、その誤ちを認め、税金や滞納金、罰金を積極的に納めると表明した。
中国政府が提唱する「共同富裕」は「富裕層の富を奪って貧困層を救済する」ことはせず、各種の新経済・新業務の秩序ある発展の促進に依然として力を入れている。海外メディアは色眼鏡をはずしてこそ、リアルな中国、発展途上の中国を読み取ることができる。(CRI日本語部論説員)