人民の文芸事業のために力を尽くす俳優ーー藍天野

　河北省饒陽県出身の藍天野さんは、1945年9月に中国共産党に加入しました。彼は人民の文芸事業のために尽くしてきた俳優・舞台監督です。

　青年時代は革命活動に参加し、革命活動のための文芸創作に従事して、新中国成立後には数々の舞台作品に出演し、名キャラクターの姿をいきいきと演じ上げ、人々の記憶に刻みました。日本とも縁があり、1983年の北京人民芸術劇院の訪日公演に参加して、老舎の傑作「茶館」に出演しました。

　藍天野さんが舞台の世界に身を投じたのは、共産党に加入する前の年、1944年のことでした。その後、1952年に正式に北京人民芸術劇院に就職して、同芸術劇院の第一陣の俳優の一人となります。俳優人生の70年間に、彼は「茶館」「北京人」「蔡文姫」「王昭君」「ロミオとジュリエット」「小市民」「家」など、70本以上の舞台作品で個性に富んだ役柄を演じました。また、1963年からは舞台監督として、「山村新人」「呉王金戈越王剣（ごおうきんかえつおうけん）」「秦の始皇帝親子」など10本以上の舞台を監督し、そのうち、「呉王金戈越王剣」は1985年に北京市舞台監督優秀賞を受賞しました。

　藍さんはどんな役を演じる場合でも、観客に鮮明な印象を残すことに努めました。それは舞台監督を務める時も同様です。

　舞台芸術の技と品格を継承しながら、新人の育成や中国舞台芸術の繁栄と発展に大きな貢献をしてきた藍天野さんは、1987年に北京人民芸術劇院の俳優と監督を定年退職しました。その後も相変わらず舞台事業に関心を寄せ、若手に舞台の伝統や演出理論、テクニックなどを教え続けています。教え子の中には、宋丹丹（そうたんたん）や濮存昕（ぼくそんきん）など、著名な役者が名を連ねます。

　また、藍さんは社会貢献活動にも熱心で、毎年、さまざまな寄付活動の場で彼の名前を見かけることができます。例えば、四川大地震や北京の大雨など、災害からの復興のために義援金など送っています。また、2014年には北京市の演劇祭が資金不足で困窮していることを知り、日本円にしておよそ50万円の寄付金を即座に出すなど、民間の演劇活動もサポートしています。