北京
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第4回中国国際輸入博覧会が11月5日から10日にかけて上海で開催され、過去最多の127の国・地域の約3000社の出展を引き付けました。この中には、4回続けて出展した日本企業も多数あります。中国がWTO加盟から今年で20年となる中、出展に寄せる思いや中国で実感した市場の変化、今後の見通しなどについて、日本の「常連」企業の代表にお話を伺いました。
◆テルモ:中国は競争激化も成長続ける魅力的な市場
医療機器メーカーのテルモ株式会社は、中国市場においては、「双循環」という用語ではなく、「地産地消」を目指すと示しました。テルモ社は1980年代に中国に進出し、現在は杭州、上海などで製造・販売拠点を構えています。
今年2021年で創業百周年を迎えた同社は、第4回輸入博では出展面積を前回の倍に拡大しました。糖尿病、低侵襲医療、血液と細胞技術などに特化したソリューションなどを展示し、そのうち、中国市場では初公開のものが8割を占めるとのことです。中には、冠状動脈病変の治療に使うカテーテル「冠脈微導管HighTrack」のように中国の臨床医の使用習慣を踏まえて設計され、中国市場を念頭に開発した商品も含まれています。
同社の丸田正行中国地域総代表は、「1年目は理解不足から小規模の出展で開始したが、ブランドづくりにおいて大きな機会だと知り、今回は大規模な展示にした」と輸入博とのかかわりを振り返りました。WTO加盟後の中国市場について、丸田氏は「二桁の年平均成長率を保っており、中国はテルモの海外市場では伸びの最も早い国だ」と確かな手ごたえがあったことも明らかにしました。
一方、中国では所得水準の向上に伴って、より良い医療を受けたいニーズが高まりを受けて、市場は確実に大きくなり、購買層も拡大している一方、競争の熾烈化という新しい状況が生まれていると丸田さんは指摘します。
「昔は外国の技術や製品というだけで歓迎されたが、ここに来て、中国企業と外資系企業の技術的な優位性の格差はどんどん小さくなっている。しかし、その一方で、中国の市場はこれからも成長していく魅力的な市場だ。中国の患者さんに価値あるものを提供できるように日々考えながらやっている」
そう話す丸田氏の話からは、地道な取り組みにより中国市場で生き残りをかける姿勢が滲み出ていました。そして、「今後はできる限り、中国で売るものは中国で生産をしようと『地産地消』の考え方を取り入れている。中国で技術を発掘しようと、現地でのイノベーションを強化する取り組みを始めている」と既に始まった布石も明らかにしました。(取材・写真:劉叡 構成:王小燕 校正:星)