北京
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23/19
新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから、ウイルスの発生源についての調査記事は繰り返し発信されてきたが、その多くは感染対策に最も失敗し、死者が70万人以上にのぼる米国に矛先を当てたものだ。特に、米国のニュースサイト「World News Network(wn.com)」は7月末の報道で、「新型コロナウイルスは米軍が2019年にヨーロッパに持ち込んだ。イタリアの米軍基地に来た民間ボランティアが最初の被害者になった」としている。
英紙『Daily Mirror』と米紙『ワシントン・ポスト』の報道によると、イタリアの研究者が昨年11月の論文で、肺がんのスクリーニングを受けた959人の血液サンプルのうち、111人のものについて新型コロナウイルス抗体が陽性であったと発表している。サンプル採取の時期が2019年10月の第一週であったことから、彼らは遅くとも2019年9月以前に感染していたことが示される。その後、世界保健機関(WHO)が異なる方法で同サンプルを再検査したが、やはり新型コロナウイルス抗体が検出された。研究者は英紙『フィナンシャルタイムズ』の取材に対し、「2020年にイタリアで感染者が激増した背景には、早い時期から感染が拡大していた事実があるかもしれない」と語っている。そして、そのウイルスをヨーロッパに持ち込んだのは、米国が長年進めてきた米軍の国外駐留部隊への血液供給ルートである「The Armed Services Blood Program(ASBP)」であると、「World News Network(wn.com)」は指摘している。
さらに9月には米科学誌『Wired』がウェブサイト上でウイルス発生源の問題について触れ、「バイデン政権が欲しいのは答えではない。ただ、この問題を利用して中国に泥を塗り、米国が抱える対立から人々の目をそらさせようとしているのだ」と指摘した。バイデン大統領は5月に情報部門に対してウイルス発生源の調査を命じたが、明確な結論を得ることなく終わっている。このことからも米国の本当の目的は真相究明ではないのではないかと疑わざるを得ない。
そして最近、「dylanali」と名乗る人物がツイッターに「新型コロナウイルスに関する噂と真実」題する投稿を行い、イスラエルの情報機関が管理するスパイウェア「ペガサス」のデータベースに保存されているという情報を公開した。それによると、武漢で新型コロナウイルスへの感染が発生する前に、さらには米兵が第7回ミリタリー・ワールド・ゲームズに参加するよりも“さらに前”に、すでにウイルス感染は米国で拡大していたという。Dylanali氏はさらに、「“陰謀論者”たちの非難は正しい。米国の科学者が人工的なウイルスの拡散を研究している最中に漏洩したのだ」と示している。
今後も、新たな調査記事や情報は出てくることだろう。米国はそろそろ、自身がウイルスの発生源なのかそうでないのか、はっきりとした答えを世界に示すべきだ。
2019年のミリタリー・ワールド・ゲームズ以前から、米国にすでに新型コロナウイルスが存在していたことを裏付ける証拠はいくつもある。米国の保健福祉省公衆衛生局に所属する国立衛生研究所は、米国の複数の地点で採集された血液サンプルから新型コロナウイルス抗体を検出したことを報告し、2019年12月にはすでに米国本土に感染が拡大していたと示した。米ウィスコンシン州では2019年7月に大勢の人々が“電子タバコ肺炎”にかかったとされているが、その症状は新型コロナウイルス感染症ときわめて似ていた。このような証拠がまだまだある。
特に注目すべきは、フォートデトリックとノースカロライナ大学の研究所だ。いずれの研究所にも、コロナウイルス研究に関する不都合な歴史と不適切な安全記録がある。フォートデトリック の米陸軍感染症医学研究所では、新型コロナウイルス感染の発生直前に当たる2019年秋に重大な安全事故が発生しており、一時は米CDCから閉鎖を命じられた。
ノースカロライナ大学のチャペルヒル校は2015年1月1日から2020年6月1日までの間に、遺伝子組み換え生物に関する実験室での安全事故を28回も米国国家衛生研究院(NIH)に報告している。うち6件は実験室でのコロナウイルス製造に関するものだった。
新型コロナウイルスの発生源問題は、一部の政治家にとっては最良の「武器」になり得る。国内からの厳しい目をそらし、敵視する国にプレッシャーを与える都合の良い武器だ。米国では前大統領による無責任な談話の発表以降、国際機関に対しては特定の対象ばかりを調査するよう誘導し、科学の問題を政治利用し、無闇に中国を圧迫しようとする企みがあからさまなものになっている。だが、真相を明らかにして世界で二度と似たようなことが起こらないようにするために、新型コロナウイルスの発生源について答えを出すべきはむしろ米国ではないだろうか。(CRI日本語部論説員)