北京
PM2.577
23/19
11月初めの北京、秋の気配が深まり、澄み渡る青空の下、北方の大地は黄金色に変身しました。この季節には、温かい日差し、凛と咲く秋の花、はらはらと舞い散るもみじ、たまに降る秋雨など秋の風情が感じられます。今回の中国メロディ―ではフォークソングから秋の風情を楽しみましょう。
「秋のセミ」
劉文正(リュウ・ウェンジェン)の「秋蝉(秋のセミ)」は私が個人的に大好きな一曲です。この80年代のフォークソングは秋の様々な景色を描いています。静かなイントロが聴く者を静寂な森へと誘い、夏を鳴き続けたセミは、晩秋の季節に最期を迎えます。男性シンガーリュウ・ウェンジェンの優しい歌声は、自らの短い命に対するセミの限りない感傷と、美しい世界への愛着を歌っています。歌詞はセンチメンタルですが、非常に味わい深く綴られています。
秋が去って冬が来れば、
美しい景色はもう来ない
すばらしい春は早々に過ぎ去っていく
セミの命は短いですが、命と美しい世界に対するセミの愛着には心を動かされます。セミよりも私たちの一生は長いですが、肉親や友人、恋人がいつまでも付き添ってくれるわけではありません。今を大切にし、身近な人との素敵な時間を大切にしてくださいね。
「秋の夢」
秋は四季の中で最も色鮮やかな季節だと言われていますが、青空、白い雲、紅葉……そんな秋の美しい景色を描いた歌が蔡琴の「秋夢(秋の夢)」です。
そよ風が吹いてもう晩秋となった
大地は赤い服をまとう
森の中を歩いていると
なんとなく感傷的だ
林の中の鳥はずんずんとたたずんでいる
寒い冬を待っているようで
雪が吹きすさぶ頃になると
春も近いのではないだろうか
中国歌謡界で、蔡琴は特別な存在です。そのまろやかなメゾソプラノは、人の心を癒す力を持っていて、多くのファンを魅了しています。音楽評論家はこう評価します。「蔡琴の歌声は美酒のようで、味わえば味わうほど味わい深い。ロマンチックな中に優雅な感傷があり、特に女性の心に訴えるものがある」
「秋が去り、秋が来る」
秋はロマンチックな季節と言われ、多くの恋人がこの季節にロマンチックな結婚式を挙げます。しかし、秋は別れの秋とも言えます。もともと寂しい雰囲気が漂うこの季節に、恋に失敗してしまうと、さらに落ち込んでしまいがちですね。
女性フォークシンガー・サリー・イップが1990年にリリースした広東語の歌「秋去秋来(秋が去り、秋が来る)」は過ぎ去った歳月を懐かしく思う気持ちを表しました。感傷的な旋律は、秋風で黄色く染まった秋の葉がチラチラと大地に散っていく様子を思わせます。サリー・イップの悲しげな歌声は失恋した人の悲しみを歌いました。
赤々と黄色い蝶が私の窓に寄り添う
遠いところへ飛んでいくあなた 寒くないのだろうか
涼しい秋がまた来る 憂いに満ちる秋
あなたは私の思いを知っているの?