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いつか解けるか、中国四川省の三星堆遺跡をめぐる謎
三星堆は四川省の省都・成都市から北へ約20キロメートル離れた広漢市にある、約5000~3000年前に栄えていた古代蜀国の都の遺跡です。総面積は約12平方キロメートルで、特に重要とされる中心エリアの面積は約3.6平方キロメートルです。1929年に偶然発見され、1934年に一度発掘されましたが、考古学的な発掘作業が正式に始まったのは1950年代で、その作業が今日まで続いています。
1986年には遺跡内の1号祭祀坑と2号祭祀坑(祭祀坑とは、祭祀に使われていたとみられる穴のこと)で、青銅大立人像、青銅神樹、青銅仮面、金の仮面、金杖などを含む金器、銅器、玉器、石器、陶器、象牙、海の貝殻(当時の通貨)など1000点以上の貴重な文化財が出土しました。1993年にはその文化財の一部がスイスのローザンヌで展示され、西洋諸国で大きな反響を呼びました。日本でも、1998年に4つの美術館(世田谷美術館、京都市美術館、福岡市美術館、広島県立美術館)で「三星堆、中国5000年の謎―驚異の仮面王国展」が開催されました。
現地でも1997年に三星堆博物館がオープンし、これまでに出土した文化財は1号展示館(総合館)および2号館(青銅館)に展示されています。
この遺跡が再び話題になったきっかけは、2020年10月に3号から8号までの「祭祀坑」を対象に発掘作業が再開したことです。今年9月時点で、金の仮面の破片、青銅仮面、青銅霊木、象牙など500点の重要文化財を含む1万点近くの文化財が出土しています。
2000年続いた古代蜀国の時代は黄河流域における夏朝と商朝の時期に当たり、歴史家はこの場所について「長江文明の源であり、中華文明の発祥地の一つである」との見方を示しています。残念ながら、文字を含む資料は見つかっておらず、後世の歴史書物にも関連の記述は見られませんが、今後も発掘作業と研究が進められることで、いつかこの三星堆遺跡の謎も解けるかもしれません。(まとめ:任春生)