北京
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中日両国の若者が「詩に思いを寄せて」をテーマに、詩の朗読を映像作品にして披露しあう交流会「雲詩会」の閉会式が6日午後、北京のスタジオと武漢、そして東京など日本各地からの参加者100人とを結んで、オンラインとオフラインを併用する形で開かれました。
北京のスタジオから手を降る中国の参加者たち
この交流会は、中華全国青年連合会と日本の創価学会青年部が、中日の文化交流を深め、青年同士の友情と協力を促すために企画したものです。今年4月から8月にかけて、両国の若者を対象に、応募者自身が出演する詩の朗読の映像が募集されました。応募作品は「抖音」などのSNSでも公表され、多くの人から視聴されています。
閉会式では主催者と入選者が感想を述べたほか、両国の審査員による講評も行われました。
挨拶に立つ中華全国青年連合会・傅振邦副主席
中華全国青年連合会の傅振邦副主席は挨拶の中で、創価学会青年部と1985年に友好関係を樹立してからの道のりを振り返り、「複雑な国際情勢を前に、友好の伝統を持つ青年団体として中日友好事業を受け継ぎ、中日関係を正しい方向に向けて健全に発展させていくことが両組織の共通の責任だ」と話しました。また、来年が中日国交正常化50周年であることについて、「創価学会青年部と協力を深め、平和、友好、協力という正しい方向性をしっかりと掴んで、実際の行動をもって中日関係をより高いレベルに進め、そのための青春のページを綴って、金の橋を構築していきたい」と話しました。
リモートで挨拶をする創価学会青年部の志賀昭靖部長
創価学会青年部の志賀昭靖部長は席上、「創価学会の日中友好運動の原点は、国交正常化の4年前にあたる1968年9月8日、池田大作名誉会長が創価学会学生部総会の席上で、1万数千人の青年を前に発表した『日中国交正常化提言』にある」と振り返ったうえで、「その精神性を受け継ぎ、全青連の皆様と一貫して友好交流を続けてきた。これからも変わらず絆を深めていく」と話しました。志賀部長はまた、2022年北京冬季オリンピックの成功を祝すと述べたうえで、来年の中国交正常化50周年に対しては、「50年という歴史の重みを感じながら、次の50年への新たな一歩を共に歩んでいきたい」との思いを伝えました。
■抜粋:参加者の声
南開大学周恩来・池田大作研究会(院生)・凌彤さん
凌彤さん
私は周恩来・池田大作研究会を通じて、日本人の若者たちと知り合い、深い友情を築くことができました。
私たちは国籍、信仰、文化背景、育った環境、性格などが異なります。交流の中で違いを感じ、対立する場面もありました。しかし、共通点を見つけ出す努力をし、「小異を残して大同につく」ことを目指し続けたことで、相互理解を深めることができたと思います。
コミュニケーションは人々の心の架け橋です。交流がなければ、誤解が生じてしまいます。真心のこもった交流があるからこそ、友情の翼を広げて、共に新しい空を飛ぶことができます。
北京大学外国語学院日語系院生1年・董林さん
董林さん
今回、私は李白が阿倍仲麻呂のために書いた詩「晁卿衡を哭す」を選びました。
詩があったからこそ、貴重な歴史の記憶を知ることができ、今日にも伝わる真心を感じ取ることができたと思っています。
詩には時空を越える力があります。詩が両国の若者の心に友情の種を蒔いて、友好の花を咲かせ、私たち若者がこの友情の絆を受け継ぐことで中日友好の大木がいつまでも生い茂るよう願っています。
武漢メディア学院3年・李偉豪さん
武漢からリモートで参加する李偉豪さん
私は武漢ゆかりの李白の詩「黄鶴楼送孟浩然之広陵」(黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る)を選びました。
中日の交流には長い歴史があります。私たちの代の若者が引き続き中日友好のバトンを受け継いで、これからも両国の文化が好きな若者と交流を深め、伝統文化の魅力を発揚させていきたいと思っています。
■中央大学2年・北村太郎さん
朗読させていただいた王勃の「送杜少府之任蜀州」(杜少府の任に蜀州に之くを送る)という詩はまさに、中国の地にいる友人たちへの私の気持ちを代弁したかのようなものでした。
「雲詩会」を通して、青年たちの草の根の民間交流の大事さを実感しました。中国でお世話になった方々の心にもきっと届いていると確信しています。
私は将来、中国の良さ・日本の良さを偏見なく多くの人に知ってもらいたいと思っています。中国と日本、また諸外国の友好のために貢献できる仕事がしたいと考えています。
■創価大学3年・芳村梨沙さん
芳村梨沙さん
私は創価大学のダブル・ディグリーコースで中国語を勉強しており、本来であれば昨年2月から北京語言大学に2年間留学に行く予定でした。しかし、新型コロナウイルスの影響により、未だ現地での留学を経験していません。
中国から創価大学に留学予定である中国人留学生と授業で知り合い、まだオンライン上でしか会うことはできていませんが、中国人留学生の温かさを随所で感じ、中国語学習のモチベーションを保つことができました。
私は、文化の交流を通して目の前の1人を幸せにできる人になりたいという夢を持っています。中国の地でも文化交流を通して、心と心が繋がっていけるよう、今は語学力と人間力を磨くことに徹します。
創価学会男子部国際部員・莊司直登さん
莊司直登さん
私は杜甫の「望岳」を朗読しました。泰山の偉容を想像し、作者の壮大な志と精神性の豊かさに感嘆するばかりでした。詩人として、どんな艱難辛苦をも恐れず、それを乗り越えようとする精神性に励まされました。
コロナ禍というかつてない閉塞感の中で行動が制限されるいま、外的な要素に影響されずに、いかなるときでも、何歳になっても、杜甫のように広大な心で、志を高く持ちたいと思いました。
現在、私は経営コンサル系企業にてシステムエンジニアの仕事をしており、忙しい日々を過ごしています。「雲詩会」をきっかけに詩に触れて、仕事でも今まで以上の結果を出したいと素直に決意できました。
■双方の審査員の講評から
(日本)創価学会全国学術部中央幹事 梶川貴子さん
北京会場とリモートでつなぐ梶川貴子さん(左)
日本の歴史や文化には、中国からの影響を知らないと正しく理解できない面があります。1205年(鎌倉時代)に、「詩歌合わせ」という文学的行事が朝廷で催されました。主催者は後鳥羽上皇で、歌人の選定は小倉百人一種の選者として知られる藤原定家でした。それは漢詩と和歌という異なる詩同士で競うという珍しいものでしたが、今回の日中青年「雲詩会」は優劣を競うものではなく、詩歌を鑑賞しあうことで交流するというものです。これは伝統的な詩に映像という現代の技術を加えた非常に画期的なイベントだと思います。
池田大作会長はかつて、郭沫若先生の「文化交流の促進によって、必然的に強化される全世界人民の大団結こそが人類の前途に無限の光明を約束している」という言葉を引用しながら、「文化の交流は心と心の交流である。これからも、私たちは平和の交流、友好の交流を広げ、世界との文化の大交流を有意義に進めて参りたい」と語りました。この度の交流は、まさに心を結ぶ文化の交流だと思います。この「雲詩会」をきっかけに、詩歌という伝統的な文化が未来に伝わり、日中の交流がより深まることを心から念願します。
(中国)『青年文学』誌 張菁編集長
張菁編集長
文学はよく「灯」や「橋」にたとえられます。詩歌も同じです。文学や詩歌は私たちに光明の存在、そして、その尊さを気づかせてくれます。また、時間、地域、民族、ひいては文化の格差を乗り越えることをも可能にし、通じ合い、知り合い、慈しむことを身に付けさせてくれます。今回の「雲詩会」への期待はまさにこうした「灯」と「橋」の役割を発揮することにありました。こうした取り組みは私たちが共有すべき精神の糧であり、相互理解であり、信頼を蘇らせる取組みでもあります。
コロナ禍が人類に混乱をもたらす中、一衣帯水の隣国にいる両国の若者たちは、特別な形で世界への祝福を表しています。
私自身も「雲詩会」の作品を鑑賞させてもらい、詩そのものに感動すると同時に、朗読者の真心と彼らの目の輝きにも感動させられました……人類のためになるすべての文学は私たちの共通の財産です。この財産のおかげで、私たちは交流を重ね、長いようで短い人生においても世界的な視野を持つことが可能になっているのだと思います。
北京スタジオにて 参加者全員の記念撮影
(Yan、強)