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中華“老字号”巡り 安徽省黄山市屯渓胡開文墨場
中国で墨は、筆・紙・硯と並ぶ「文房四宝」の一つとされています。良質な固形墨は玉のように硬く、黒の色は美しく、紙にのれば漆のようなツヤを放って、いつまでも色が褪せません。また、添加されたジャコウなどの生薬の香りも特徴的です。墨は原料によって油煙墨、松煙墨、炭黒墨の3種類に分けられます。産地別では、安徽省の徽墨、江西省の瑞墨、山西省の絳墨などが有名です。
墨づくりは西周の時代に始まり、春秋戦国時代に広く使われるようになって、明清の時代にピークに達しました。
『徽州府誌』によると、徽州(安徽省南部)での墨づくりは唐代の末期に始まりました。戦乱を避けて易州(河北省)から安徽省に逃げてきた職人が、そこで松の木や泉の水といった墨づくりに最適な資源が豊富にあることを認め、定住したのだそうです。
宋代以降は、高名な職人が作った墨が求められるようになりました。これらの墨は書画のために使われるだけでなく、文人墨客の机に飾られて装飾品や鑑賞品にもなりました。
2006年に中華老字号に登録された安徽省の「屯渓胡開文墨場」は、胡開文氏が1765年に創業しました。年間の生産・販売高は国内トップ3に入り、中国における墨づくりの3大工場の一つに数えられています。2019年11月には国家級無形文化遺産にも指定されました。
今日の番組では、中国の伝統的な墨づくりの過程や、屯渓胡開文墨場の歴史、創設者の胡開文氏の物語などをご紹介します。詳細は番組をお聞きください。(まとめ:任春生)