ピンポン外交から50年、今の時代にも重要な示唆=孔鉉佑大使

2021-08-26 20:47  CRI

 中国の孔鉉佑駐日本大使は26日、名古屋市内で開かれた「ピンポン外交」50周年を記念するシンポジウムにリモートで出席し、基調講演を行いました。孔大使はその中で、1971年に名古屋で開催された第31回世界卓球選手権大会期間中、中米選手同士の交流がきっかけとなり、キッシンジャー米国務長官の極秘訪中や、中国の国連復帰、ニクソン大統領の訪中、中日国交正常化、中国の国際オリンピック委員会(IOC)復帰など、「ピンポン外交」がこうした一連の歴史的大事件の幕を開けた快挙を振り返り、その精神には今の時代と国際情勢の中でも依然として重要なヒントがあると訴えました。

ピンポン外交から50年、今の時代にも重要な示唆=孔鉉佑大使

 孔大使は主に、三つの視点を取り上げて講演しました。まずは、「相互尊重、小異を残して大同につく」という付き合い方を堅持すること。孔大使は、「ピンポン外交」の一番の意義は、政治体制やイデオロギー、歴史・文化の違いが国と国との交流の障害にはならず、対立や対抗する理由にもならないことを実証したと指摘し、「中国は日本とともに、ピンポン外交の精神を大いに発揚し、中日が『互いに協力のパートナーであり、脅威とならない』という政治的コンセンサスを実行していく。そのうえで、日本を含む世界のすべての国とともに、平和、発展、公平、正義、民主、自由という全人類の共通価値を促進し、人類運命共同体の構築に向け一緒に努力していく」という中国の姿勢を改めて表明しました。

 次に、「民間先行、民を以て官を促す」という中日友好の伝統を守ること。孔大使はスピーチの中で1971年当時、日本国内の大きな政治的圧力や右翼勢力からの威嚇、脅迫に屈せず、中国代表を大会に招待することを決意し、「ピンポン外交」誕生の舞台を用意した日本卓球協会・後藤鉀二会長の貢献は「決して忘れない」と称えました。さらに、後藤会長が訪中から帰国した後に、「7億5千万の人口や日本の26倍も広い国土を持つ、隣国の中華人民共和国との友好関係は絶対に必要である……日中両国が真の意味で結束することができれば、アジアに平和をもたらすことができる。卓球を通じてその実現を目指す」と書き残した文章を改めて引用して紹介しました。閉会したばかりの東京オリンピックについては、中日両国の卓球選手がライバルでありながらも、競技場の外では友情と絆を深めていたことに言及し、「彼らの姿を見て、ピンポン外交の精神が半世紀にわたりよく受け継がれていると感じる」と嬉しい気持ちを明かしました。

 三つ目は、時流を見極め、大局をはかる戦略的ビジョンを堅持すること。孔大使は「ピンポン外交とそれ以降の歴史を振り返ると、日本は中国と米国の間で重要な架け橋の役割を果たし、冷戦の中で、戦略的主体性を確立することに成功した」ととりわけ日本外交の歩みを評価しました。そのうえで、日本が米国より約7年も早く中国との国交正常化を実現し、西側諸国の中でも最も早くから中国の改革開放を支持し、中国の急速な発展から大きな利益を受けてきた国であったという歴史に触れ、「日本が国際協調外交を展開し、アジア隣国との関係を発展させたことで、自身の経済的飛躍を成し遂げ、アジアの繁栄と振興にも前向きに貢献してきた」と話しました。そして、多くの学者が指摘したこととして、「当時の日本外交が成功した最大の要因は、大国の駆け引きの中で、あくまで自国の根本的利益を見据え、戦略的自主性と柔軟性を最大限に維持したことにある」としました。さらに、足元の中米関係との関連性については、「日本の戦略的知恵が再び試される時」とし、「中国としては、日本側がこのような潮流と大勢を見極めた上で、戦略的自主性を守り、バランス良く中国、米国との関係を確立し、地域の平和と安定に資する役割を果たせるよう、賢明な選択をすることに期待する」と話しました。

 孔大使はさらに、中日国交正常化50周年にあたる来年は、両国関係にとって新たな歴史的スタートラインに立つことを意味するとして、「双方が中日国交正常化の初心に立ち返り、半世紀にわたる両国関係発展の豊かな成果を大切にし、平和、友好、協力という正しい方向性をしっかりと把握し、中日関係をさらなる高みへと押し上げていくことを期待する」と展望しました。

(取材&記事:王小燕

写真提供:中国駐名古屋総領事館)

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