北京
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23/19
20年間に及ぶ「米国最長の戦争」の発端は01年9月の米同時テロだった。国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者が首謀者とされた。当時のブッシュ米政権はタリバン政権に同容疑者の引き渡しを要求したが拒否され、アフガン戦争の開戦に踏み切った。同年12月、圧倒的な軍事力を背景にタリバン政権を崩壊させた。
戦争開始から2カ月でタリバンをカブールから放逐したが、米国は戦争をやめなかった。テロの拠点を完全に除去するには、アフガニスタンに「普通の国」を建設する必要があるとの理由からだった。しかし、これはアフガン国民にとって、西側スタンダードの民主主義国家を一方的に植え付けようとするも同然だった。宗教と部族が複雑に絡み合っているアフガンの歴史を考えれば、そのような国づくりが不可能だという懸念に、米政府は耳を貸さなかった。
以後、米国は北大西洋条約機構(NATO)の同盟国を率い、各地に散ったタリバンの掃討とアフガンの民主化支援を続けてきた。だが、タリバンは一時的に退潮したものの、この多民族国家の統治は安定しなかった。米国が9兆円規模を投じて政府軍の強化にテコ入れをしたものの、肝心の民主政治は定着することなく、汚職も蔓延した。その結果が20年ぶりのタリバンの政権復帰であり、今カブールで起こっている大混乱だろう。米国の元アフガニスタン駐在大使であるマッキンリー氏はこのほど、アフガニスタン情勢について文章を発表し、「米国式の民主主義をアフガニスタンに押し付けようとする20年間の努力は結局失敗に終わった」としました。
テロの根源は、各地に広がる紛争や格差、貧困である。同時テロから学ぶべき教訓を生かさず、軍事偏重の行動に走り続けた結果、疲れ果てたのが今の米国の姿ではないか。
過度な宗教的信念から特に女性と少数者の人権を抑圧するタリバンがアフガンをうまく率いていくかどうかについて、現在のところ、誰も断言できない。しかし、外部から特定の理念や価値を押し付けようとする試みもまた、成功が非常に難しい。国際社会では普遍的価値も重要だが、その国の運命はその国の国民が決めるということの重要性を、今のアフガン情勢は改めて気づかせてくれている。
中国外交部の華春瑩報道官は20日、北京で開かれた定例記者会見で、「アフガニスタン情勢の激変は、押し付けた民主主義は長続きしないことを再び立証した。民主主義の旗印を掲げ、利益集団を作り出し、他国の内政に横暴に干渉したり、悪意をもって他国の発展やより良い生活を求める国民の権利を抑制したりすることは、最も民主主義に反する行動であり、覇権であり、独裁である」と指摘しました。(CRI日本語部論説員)