北京
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アフガニスタン情勢が国際社会の関心を寄せている。中でも、米国の責任の取り方が焦点となっている。
キャンプ・デービッドで休暇中のバイデン大統領は、急遽16日にホワイトハウスに戻ることを決め、アフガン情勢をテーマに国民向けの演説を行った。 バイデン氏は演説の中で、「アフガンにおける米国の行動はテロと戦うためのものであり、建設のためではない」「確かにアフガン情勢の悪化は予想をはるかに超えているが、その主な理由はアフガン政府が抵抗を諦めたためである」と強調した。
一方、テロ対策に名を借りた米国によるアフガン戦争は、アフガニスタンに何をもたらしたのだろうか。20年経った現在、アフガンのテロ組織の数は一桁から20以上に増え、10万人以上のアフガン市民が米軍とその同盟国の銃撃で死傷し、1000万人以上が避難生活を余儀なくされている。また、戦争には1日あたり6000万ドルの出費がかかり、アフガンで命を落とした米軍兵士の人数は2400人以上に上っている。この戦争は、アフガンの経済と社会の発展に大きな打撃を与えただけでなく、米国自身にも大きな負担をもたらしている。
バイデン大統領は演説で「自分が下した決断を後悔していない」と述べたが、その言葉は、厳しい現実を前に、自身の失敗を正当化するものにしか聞こえなかった。アフガン事態が急変し、カブール空港で大混乱が起きた映像が一夜にして世界中のテレビやインターネットに広まっている。そうした事態に至った責任はバイデン氏が負わざるを得なくなり、それにより、米国内ではバイデン氏の執務能力に疑問を呈する人が増え、野党にも多くの「材料」を提供することになる。ひいては、アメリカの同盟国も当然のことながら、米国は頼りになれない国だと益々思うようになるだろう。バイデン氏が演説の中で撤退の理由について説明をしたものの、撤退が引き起こした混乱については何の釈明も行っていないと多くのメディアが指摘している。
アフガンの混乱した局面をどう収拾すればよいのか。この問題には、ブリンケン米国務長官もじっとしていられないようだった。中国の王毅国務委員兼外交部長とロシアのラブロフ外相は16日に、相次いでブリンケン長官からの電話会談の求めに応じた。同時に、王部長とラブロフ外相もアフガン情勢について電話で意見を交換した。米国には、アフガン問題で中国やロシアとの意思疎通を深めたいという思惑がある。このままだと、中国とロシアがアフガン問題で最も発言権を握る国になり、自身の影響力がどんどん下がっていく一方である。長きにわたって、アフガンで「破壊者」の役割を果たしてきた米国は、今になって「敗北者」になっている。それだけに、今後、米国がアフガン問題に介入することが難しくなるだろうとみられている。米国はバイデン政権発足以来最大級の危機に陥っていると言える。(CRI日本語部論説員)