四川省涼山イ族自治州喜徳県両河口鎮ス果覚村旅日記―ス果覚村2

2021-08-06 09:57  CRI

ス果覚村の立地

 松明祭りを体験するため訪れた四川省涼山イ族自治州喜徳県両河口鎮ス果覚村。この村は標高およそ2000メートル、喜徳県中心部から車で1時間ほど山道を登ったところに位置する。2016年に貧困から脱却したばかりで、人口927人の小さな村だ。もともと人口が多い村ではないが、貧困脱却を機に多くの若者は山を下り、より良い環境を求めて町で暮らしている。そのため、村には高齢者と子供が多い。そんな子供たちも普段は町の学校に通うため、寮生活をしているという。

四川省涼山イ族自治州喜徳県両河口鎮ス果覚村旅日記―ス果覚村2

図1:ス果覚村の日常風景

 村に来る山道、ス果覚村、どこを歩くにも急な坂道ばかりで平地は非常に少ない。また高山のため、歩くだけでも息が上がってしまう。しかし、目の前に広がる青々とした豊かな高原風景を望むと、その美しさに言葉を失ってしまうほどだ。

四川省涼山イ族自治州喜徳県両河口鎮ス果覚村旅日記―ス果覚村2

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図2、3:ス果覚村の風景

貧困脱却を支えた赤い実

 風光明媚のほかにもス果覚村には美しく刺激的な特産がある。曲がりくねる村道を歩けばそのすっとする清々しい特産品の香りで目が覚める。特産の正体は山椒。いたるところに植えられた山椒の木の実は赤く染まり、7-8月収穫期を迎え、中国全土に出荷され、この村の貧困脱却に貢献している。その収穫を体験してみると、山椒の木にはバラより激しいトゲがあり、収穫時に何度もトゲに刺さって痛い思いをする。この農作業は子供からお年寄りまで村人が毎日行っている。12歳の女の子の手を見せてもらうと爪の間が黒くなり、手の甲や指には無数の傷があった。彼女は「雨が大好き、雨が降ってほしい、だって雨が降れば山椒を採らなくていいから」と話してくれた。今後山椒を口にするときは、人々に感謝の気持ちを忘れたくない。

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図4:山椒の実

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図5:村民が採取した山椒の実

ス果覚村の人々

 ス果覚村の人々というべきか、イ族の人のというべきかは悩むところだが、この地に住む人々の性格の特徴を挙げると、子供も大人も非常に人懐っこく明るくあどけない。こちらが笑いかけると屈託のない笑顔を返してくれ、外国人の筆者に対しても知りたいことをどんどん質問してくれる。そして何よりも友好的で外の人を大歓迎する心の広さを持っている。イ族の人々同士はイ族語を話し、独自の文字を使用しているが、苗字2文字名前2文字が一般的で、言葉は日本語と同じ文法のため、イ族文化はどこか日本文化と似ているところがあると現地の人が教えてくれた。

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図6:ス果覚村で暮らすイ族の人々

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図7:イ族の文字で書かれた看板

若者たちの想い

 貧困から脱却したとはいえ、まだまだ貧しいス果覚村。交通手段は自家用車しかなく、それ以外は歩くしかない。土道だった村はほんの2、3年前に道路が整備されたばかりだ。そんな道を行く人々の服装は農作業をしているということもあるが、擦り切れたり穴が開いたものを着ている人も多い。成人した若者が少なくなったス果覚村だが、村にいた若者に山での生活がどんなものなのかを訪ねてみた。

 村の行政に携わる阿迪克古さんは水不足で水は大変貴重なため、洗濯や入浴などが非常に不便だという。貧困脱却前は電気も通っていない場所がほとんどで、お湯を沸かすこと一つにおいても原始的な方法を使うしかなかった。彼が子供だった頃は山道を3、4時間かけて通学をしていたというから驚きだ。また、山ではトウモロコシやジャガイモ、蕎麦などの穀物は豊富に採れるが、米や塩、醤油などの調味料のほか、衣類など生活用品は毎週一度開かれる市で、町からもたらされたものを手に入れているという。特に若者にとって致命的なのは電波が時々悪いということ。その環境は想像するに難くない。そんな不便な山の生活を続ける理由を聞いてみると、「不便は不便、だけど、小さいころから馴染みのある山での生活が心地いいし、山の美しさに魅せられてこの地を離れられない」と語ってくれた。

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図8:村の行政の仕事にかかわる阿迪克古さん

 今は深センで仕事をしていて、松明祭りで帰省したという阿的尔呷さんは、山での生活は食事と農作業、そして寝るだけ、ほかには何もないから単純だが、都市での生活は多くの誘惑と選択がある分ストレスも大きいと言う。「朝ごはんを食べるにもお金がいるよ」と苦笑いで話してくれたが、山で育った人々にとって、自然の恵みを享受しながら生活する幸せがあるのだろうと想像した。彼の表情からは山の生活に戻りたいという気持ちがにじんでいたからだ。

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図9:深センで働く阿的尔呷さん

ス果覚村への想い

 また逆に、松明祭りで知り合った四川の大学で医学を学んでいるという吉力五機さんからは村の率直な感想を訪ねられた。景色や人々の特徴に感動したことを伝えたうえで、一つ気になったことがあったため、その思いを彼女に託した。それは小さな子供たちにチョコレート菓子を配った後に目の当たりにした光景で、子供たちがみんな菓子袋をその辺りに投げ捨てていたこと。村のゴミ捨て場はすぐそこ、しかし山の畑に向かってゴミを投げた子供もいた。多くの日本人は言うまでもなく、都市に住まう大多数の中国人も訪れたことのないス果覚村の優れた大自然を守るために、今後の教育は非常に重要だ。吉力五機さんは「母親の世代は小さいころから農作業、そして大きくなれば結婚して子供を産み育てる。それくらいしかなかった。これからは村を守ることも考えたい」と自身もその問題に気付いてくれた。

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図10:左から筆者、四川の大学で医学を専攻している吉力五機さん、阿迪克古さん

 ス果覚村を訪れた外国人は筆者が初めてだという。今後この地がさらに発展し、人々の生活がより豊かにより便利になり、より多くの人々がこの地を訪れてほしい。その時に、ス果覚村の人々が胸を張って村の文化を紹介し、どの地から来た人々からもス果覚村とス果覚村の人々が称賛される存在であってほしいと願うばかりだ。(文・写真:CK)

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10月29日放送分
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王帅