北京
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23/19
7月中旬、中国各地の子供たちは待ちに待っていた夏休みを迎えます。学生時代、夏休みに家でゆっくりと窓の外から聞こえてくるおなじみの物売りの声を聞いていると、とても心地よい気持ちになっていました。今では北京や上海のような大都市で伝統的な売り文句を聞くことは少なくなり、それはすでに人々の良い思い出となっています。今週と来週の中国メロディーでは、「都市の魂」と呼ばれる伝統的な売り声や売り歌をご紹介します。
都市シンフォニーの序曲~朝食売りの掛け声
1930年代の上海の早朝は、薄暗いうちに時を告げる大時計の鐘の音が鳴り響くと、路面電車の「ダンダン」という音が聞こえてきました。それと合わせて、街のあちこちでは地方なまりの物売りの声が聞こえていたのです。江蘇省北部なまりの売り子は「大餅、油条、麻油サンザ……」と麵料理で作った北方の朝食を売り、蘇州なまりの売り子は「方餅、ぶく苓餅、定勝餅、ハッカ餅……」と米で作った南方の朝食菓子を売り歩きます。このように街を駆けずり回る物売りの声は、上海の都市シンフォニーの序曲を歌いながら人々を眠りから覚ましていました。
花売りの掛け声
朝食の後は小路から花売りの掛け声が聞こえてきます。1930年代、上海の街では、モクレンの花を入れた小さな竹かごを持ち、「クチナシの花、玉蘭花……」と蘇州なまりの優しい口調で売り歩く花売り娘をよく見かけました。彼女たちの物を売る声はとても優美でした。
玉蘭花は上海で広く愛されている花で、特に民国時代にお金持ちの奥様や令嬢たちはよく玉蘭花をチャイナドレスのボタンにつけていて、すがすがしい香りを漂わせていました。花売り娘の美しい物売りの声もまた、玉蘭花を美しく彩っていたのではないでしょうか。
研ぎ職人の掛け声
「包丁を研いでハサミを研ぎ、包丁を研いでハサミを研ぐ」
昔の包丁やハサミは鉄で作られていたので、長く使うと鈍くなってしまいました。そこで、昼食前には道具を肩に担いで街を歩く研ぎ職人が「ハサミを研いで、刀を研いで」と叫ぶ声をよく耳にしました。
このかけ声を聞きますと、主婦たちは急いで切れの悪い包丁やハサミを探し出し、職人に磨いてもらいました。今では、このようなかけ声を聞くことは少なくなりましたが、研ぎ澄まされた包丁やハサミはいつも新しく生まれ変わっていたなと懐かしく思います!
夜の上海小路の物売りの声
放課後、小路のあちこちで食べ物を売るかけ声が聞こえてきました。お菓子を売るかけ声を聞くと、子供たちは小遣いを持って、何かおいしいものがないかと家を飛び出してきます。たとえ何も買わなくても、見ているだけで子供たちの目を大いに楽しませてくれました。
深夜、夜が更けて静かになりますと、いろいろな夜食売りのかけ声がまた、上海の路地の中で聞こえ始めました。その長い売り声は明かりの薄暗い路地の中で特に趣があります。
番組の中でお送りした曲
1曲目 老上海叫卖小调(旧上海売り子の歌)
上海小蛍光星合唱団が歌った児童合唱曲で、歌の冒頭では、「オ-ウェイ―」という軽快な長音で人々を旧上海小路の雰囲気に引き込んでいきます。抑揚のある上海の方言と、子供たちが真似する物売りの声が美しく、にぎやかな市井の生活の様子を生き生きと伝えています。
2曲目 卖糖粥(砂糖粥を売る)
上海の童謡で、歌の朗々としたメロディーが子供たちの無邪気な遊びに合わせて、活気に満ちています。この歌はあの時代、多くのかつての子供だった上海人の良い思い出になっています。
3曲目 夜上海(夜の上海)
1930年代に上海の有名な歌手、周璇が歌ったものです。
歌詞:
ここは眠らない不夜城
煌びやかな灯りが灯り 音楽が響く
歌い踊って太平を祝う
笑顔で迎える彼女を見て
心の苦悩を誰が知ろう
この夜の生活はすべて生きてい行くため