北京
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新疆ウイグル自治区イリ・カザフ自治州霍城(かくじょう)県恵遠鎮にヤンブラク村民俗旅行区がある。「ヤンブラク」とはウイグル語で「聖泉」という意味。ここは歴史的建造物である恵遠古城に隣接していて民族色の濃い観光スポットとして近年発展している。2015年政府の貧困脱却支援の下、村全体が旅行区として改造され、それぞれの住居も整備された。新疆ウイグル自治区の民家の玄関先にはぶどうのつるを掛けるための棚が設置されているが、この村では全ての民家のぶどう棚が統一されていて美しい景観をなしている。
民家を改良した民宿レストラン「美食人家」。
このヤンブラク村に、もともとの家屋を改造し、飲食や旅行業につなげた若者がいる。ウワカイシさんは2018年に大学を卒業してすぐに民宿兼レストランである「美食人家」を立ち上げた。ウワカイシさんの家はもともと農家で民宿経営の経験はもちろん無い。成功するか分からない事業の立ち上げに周りは最初反対だったが、学生時代に訪れた蘇州の民宿のやり方にヒントを得たことと、若さ溢れる未来への発展の夢が原動力となり、手探りの中家族と近隣の村民と共に民宿を開店した。最初の一年は思うように業績を伸ばすことは出来なかったが、2019年に政府が区のインフラを整えたことと、ヤンブラク村の宣伝を大々的に行ったことをきっかけに、業績は右肩上がりに。今では年に3万人が訪れ、4-10月の繁忙期はもちろん、毎月客足が途絶えることはない。「美食人家」の特徴は料理が得意なウワカイシさんの母の手料理を堪能しながら、村民で結成されている文化団による歌や踊りを屋外の庭で楽しめること。ウイグル民族色溢れる雰囲気の中で取る食事はまた格別だ。
食事をしながら民族舞踊や歌を楽しめる「美食人家」の庭。
民族情緒をプラスしてくれる村民のウエイトレス。
ウワカイシさんによると、昨年はコロナ禍の影響もほとんど受けず、農業だけで4-5万元だった年収は20万元(約340万円)に達した。今後は提供できる料理の種類を更に増やし、歌や踊りの演出の規模も大きくしたいという。また、旅行者にはウイグル族の食事や民族の特色ある民宿を堪能してもらいたく、特に夏はぶどうなど果物が豊富なのでぜひ訪れて欲しいと話してくれた。予約は旅行社のAPPからでき、世界各国全国各地から誰でも歓迎している。(文、写真:CK)
「美食人家」オーナーのウワカイシさんとシェフを務める母のチャミラ・ウプアルさん