【観察眼】「新疆綿=強制労働」の茶番劇に幕引きを

2021-04-30 17:01  CRI

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 世界三大コットンとして知られる「新疆綿(しんきょうめん)」は、この春先、各国メディアが注目する焦点になっている。理由は国際的な綿花畑の認証団体で、数多くの国際ブランドを会員に有するNPO「ベター・コットン・イニシアティブ(BCI)」が昨年10 月に、「新疆の農場における強制労働のリスクが高まっている」として、現地での認証活動を2020-21年期について打ち切ったことを発表しました。それがきっかけで、大手ファッションブランドが相次いで新疆綿をボイコットする声明を出し、世論を沸した。

 新疆綿に対する関心が続く中、最近になって、日本国内では理性的で、冷静な声と行動が表れていることに注目されたい。4月に入り、東京大学の丸川知雄教授、ファッションビジネス・ジャーナリストの松下久美さんが相次いで長編コラムを執筆して、新疆綿は強制労働によって作られた説には裏付けがなく、読者に日本の現実に基づいて、冷静な判断をするよう呼びかけた。

 丸川教授が4月12日の「ニューズウィーク日本語版」公式サイトに、“新疆の綿花畑では本当に「強制労働」が行われているのか?”と題したコラム原稿を寄せ、「H&Mなどの大企業が『新疆綿』の取り扱い中止を発表したことで、ウイグル族に対する人権抑圧の新たなシンボルとして綿花畑での『強制労働』が浮上したが、今のところ確固たる根拠はない」と指摘。BCIが根拠にしていた米シンクタンクや英国BBC記者、また、豪シンクタンクの報告書や記事はもとをたどれば、新疆各地の地方政府が農民の所得改善のため、綿花畑への出稼ぎに動員したという中国国内の報道記事が出典ではあるが、それらの報道の曲解に基づいて「強制説」が提出され、何の証拠も示されていないと鋭く指摘。そして、「新疆綿を使い続ける企業は倫理に反すると指弾するのは軽率である」と読者に注意喚起をしていた。

 松下さんは4月28日の「Business Inside」日本語サイトに寄稿した記事、「決断迫られるファストリ、無印。ほぼ全ての日本人が新疆綿使う現実どう考える?」において、西側のシンクタンクや一部メディアがいう「新疆綿が強制労働から作られた」説に確証が得られていない中、事件の悪影響が広がり続けていると指摘。そして、そうしたことの背景を繊維貿易の視点から、「米中貿易戦争の綿花版、かつ、高まるサステナビリティの潮流に対する米国の先制攻撃である」という見方を示している。

 松下さんはまた国際綿花諮問委員会のデータを引用して、日本のアパレル企業の新疆綿への依存状況を指摘した。それによると、新疆綿は中国の綿生産量の8割を、世界の19.8%を占める巨大産業である。衣料品の97%が輸入に頼る日本にとっては、中国からの輸入が全体の7割を占めている。中国製品だけでなく、新疆綿はASEAN製の商品として輸入されるものもある。「ほぼ全ての日本人の部屋やクローゼットの中に、なんらかの新疆綿製品があると考えていいほど普及している」とその普及の様子を分かりやすく説明していた。

 松下さんはとりわけ、繊維専門紙出身の業界記者や業界関係者の意見として、「新疆綿の生産はかなり近代化、効率化されている」という理解をしていることや、大半のアパレルのトレーサビリティが完全でないため、新疆綿の使用を禁止にすれば、「日本のアパレル産業自体の根幹を揺るがす大問題になる」と警鐘を鳴らした。さらに、関係者の分析として、米国内における新疆綿ボイコット問題の本質は「綿農家向けの政治的アピールに他ならない」とし、強制労働の事実がないことの証明を企業側に求めるのは、「非常に難易度が高い輸入制限であり、新疆綿が減るほど米綿の需要が増える仕組みになっている」と鋭く切り込んだ。

 「新疆綿=強制労働」が茶番劇であるという本質は、すでに多くの識者に見抜かれ、また、対応が迫られている企業の中には、言われもない非難に堂々と立ち向かう企業も現れている。

 衣服、生活雑貨、食品などを手広く手掛け、中国でも多くの愛用者を引き付けた無印良品は4月14日、「無印良品の綿とサプライチェーンについて」と題したプレスリリースを公表。各国・地域の法令や無印良品の思想を守り、人権の尊重や労働基準の管理に努めていることを強調したうえで、メディア報道の焦点となっている新疆綿の使用について、無印良品の綿を栽培する新疆地区の約5,000ヘクタールの農場等については、畑や作業者のプロフィール、人員計画を把握し、栽培スケジュールに合わせて第三者機関を現地に派遣し、監査を行っていると説明。これまでの監査で、法令または会社の行動規範に対する重大な違反は確認していないとし、販売継続の妥当性を強調した。

 ところで、一連の波風の引き金を引いたBCIというと、4月15日に公式サイトから新疆の強制労働に関する声明を撤回。現在は、リンクだけは残っているものの、クリックをしても内容が表示されなくなっている。それに先立ち、BCI上海事務所は3月に、本部と立場が異なるとみられる声明を二度にわたって発表した。その内容とは、同事務所は2012年から毎年、新疆プロジェクトで厳格な審査と再チェックを行っており、これまでのところ、強制労働といわれる問題は一件も確認できていないというものであった。

 また、新疆の「強制労働」を一番声高に批判している米国と言ったら、 その言行不一致も甚だしい。2021年1-3月期、新疆の対米輸出額が昨年同期比の113%増の6440万ドルに達した。ただし、2020年はコロナ禍で激減し、基数が低いことを吟味し、2019年と比較しても46.5%の増加がみられている。米国は新疆綿の輸入を差し止めているものの、国内市場のニーズを満たすため、新疆からの他の商品の輸入を続けている。

 ここ数日、日本メディアは「IOC公式ユニホームに『新疆綿』使用疑惑」として、米メディアの二番煎じとして、中国のスポーツ衣料メーカーで、五輪公式ユニフォームサプライヤーのANTAをやり玉に挙げる報道を始めている。もともと根拠に欠けた言説が依然としてメディアを踊っていることは残念としか言いようがない。

 茶番劇はしょせん茶番劇である。すでに見抜かれている「新疆綿は強制労働によって作られた」という嘘は、これ以上続くと、後世の笑いものにされるだけである。そろそろ幕を引こう。(CRI日本語部論説員)

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