北京
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新型コロナウイルスの急激な感染拡大が続くインドでは、医療用酸素が不足し、医療崩壊の危機に直面している。コロナによる死亡者の遺体が各地の火葬場や埋葬地に山積みにされ、悪夢のように悲惨な場面は全世界を驚かせた。このような状況はすでに5日間以上も続き、そして今もである。さらに、米国のワクチン輸出規制により、インドのワクチン生産ラインも停止の危機に陥っている。インド政府はこれまで米国に支援を求め、ワクチン原材料の輸出を再開するよう呼びかけたが、明確な回答は得られなかった。肝心な時にインドは米国から無情に見捨てられたと言えるだろう。その冷ややかな対応にインドの民衆は心の底から怒りが込み上げ、米国を「ワクチンマフィア」と批判した。
「ワクチン・ナショナリズム」は世界のコロナ対策の足枷
ワクチンの接種を加速することは、コロナ危機を緩和させる有効な手段の一つである。米国が37種類の重要なワクチン原材料を提供しなければ、インドのワクチン生産ラインは数週間で停止することになる。原材料がなければ、インドのコロナ危機はさらに悪化の一途を辿り、それだけでなく、世界のコロナ抑制にとっても足を引っ張ることになりかねない。インドの新聞メディアは24日、「インドで発生した疫病の持続時間が長いほど、ウイルスに変異が生じ、世界各地に拡散するリスクが大きい。インドがワクチンの輸出を停止すれば、それを望む他の国も長く待たなければならない」と指摘した。米国のブルッキングス研究所のザミカ・ラヴィ研究員は、「ワクチンの製造に必要な原材料の制限は、世界のワクチン供給を遅らせ、コロナ抑制のタイミングを逃すことにつながる」と示している。インドのコロナ危機は世界の警戒を引き起こしている。ウイルスが国境を分けるべきではない。人道主義精神に基づいて、中国は真っ先にインドに援助を提供すると表明した。現地時間4月25日、中国から800台の医療用酸素製造機がすでに、中国の香港からデリーに空輸され、今週内にはさらに10000台が運び出される。インド政府は中国側からの最大な善意についてはまだ葛藤している中だが、インドの国民たちは理解している。インドの人々はSNSを通じて、「遠くの親戚より近くの他人に及ばない」、「危機の時に、隣人はいつも最初に援助の手を差し伸べてくれるが、その友達は遠く離れている」と嘆いた。これまでにインドの企業は何度も政府に中国からの助けを求めて、断られた。その後、自分たちから直接、中国へ助けを求めようとした。
ワクチンを蓄える米国はいつまでも自分優先
ワクチンの公平な分配は深刻なリスクに直面しており、各国のワクチン接種における差異は明らかだ。インドは世界の重要なワクチンの生産地の一つで、全世界の接種量も第三位を占めている。しかし、接種率はまだ人口の8.6%だけというのが現実だ。一方、米国は現在、ワクチンの需要は停滞あるいは減少傾向になり、大量のワクチンを蓄えているにもかかわらず、米国政府の立場は依然として自分たちを優先している。関係者によると、米国のワクチン供給量は7月までに3億剤に達する見込みで、明らかに供給過剰になっている。日本の「毎日新聞」はこのほど、「ワクチンの配分について、トランプの『アメリカ・ファースト』を引き継いだ」と指摘した。これまで、世界のワクチンの48%は世界人口の16%を占める高収入の国に流れ、先進国と貧しい国の間にワクチン格差が広まっている。不公平なワクチン配分は不道徳であり、WHOがワクチンの公平性のために払った努力を裏切った。
批判の声が高まる中、現地時間4月25日、ホワイトハウスがインドへの医療支援を表明し、やっと手を差し伸べようとした。しかし、インドの民衆にとってはもう遅いことだ。「ザ・タイムズ・オブ・インディア」は24日、ソーシャルメディアで「米国は未使用のワクチンの在庫を抱えていたが、特許を保護すると理由を付け、コロナ危機に苦しむインドやブラジルなどに耳を貸さなかった」と報じた。ワクチンはウイルスと戦う利器であり、生命を救う希望であり、全世界で分かち合い、人類で共有すべきものだ。しかし、米国の対応は遅く、同情心に乏しく、冷酷で冷たい。このような遅れた援助は本当に支えになるのか、それともうわべだけの親切心なのか、私たちは深く考えるべきである。(CRI日本語部論説員)