北京
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毎年三月下旬と四月初めの清明節の頃には茶摘みの黄金期に当たり、この時期、茶農家たちは一刻を争うように茶摘みに追われます。茶農家の顔に溢れる豊作の喜びを見るたびに、幸せは簡単なものだと実感します。今回の「中国メロディー」は茶摘みをテーマに中国各地の民謡を特集でご紹介しましょう。
茶摘みダンス
小川の水は澄んでいて長い
小川の両岸はいい景色だ……
「采茶舞曲(茶摘みダンス)」は中国では誰もが知っている歌です。この歌は故周恩来首相とも縁があります。1958年5月のある日、浙江省の地方劇・越劇作曲家の周大風は杭州西湖近くの茶産地で地元の民謡を採集し、山紫水明の景色や、活気に満ちた茶摘みの光景に引きつけられ、「采茶舞曲(茶摘みダンス)」を作り出し、その後、「茶摘みダンス」を主題歌にした越劇「雨前曲」も作曲しました。
1958年9月11日、北京長安劇場で公演した浙江省の地方劇・越劇「雨前曲」を周恩来首相と夫人が観覧しました。二人は非常に感動したため、楽屋に来て俳優たちと歓談しました。周首相は「『茶摘みダンス』という曲は江南地方の風味も濃く、明るく清新だ」と話し、「しかし、歌詞の部分には『田植えは夜が明けるまで、茶摘みをして月が昇るまで』となっているが、少し変えなければならないだろう」と指摘しました。首相は「朝まで田植えをしてはいけない。これでは農民たちは次の日、どうやって働くのだろうか。茶摘みで月が昇ってくると、露のついた茶はおいしくない」と話しました。周首相は少し考えこんだ後、「田植えは喜ばしく、茶摘みは心を躍らせると直してはどうだろうか」と提案しました。
周首相の妙筆の修正を経て、「茶摘みダンス」は広く歌われ、1983年にはユネスコの「アジア太平洋地域スタイルの優秀教材」に選ばれました。
茶摘み歌
皆さんご存じのように茶摘みは南方地方の生産活動で、昔は手先の器用な農村の娘たちが茶摘みをしていました。茶摘みの季節になりますと、青々とした茶園の中には茶摘み娘たちの陽気な笑い声と美しい歌声が響き渡ります。茶摘み文化の発展に伴い、茶摘みの民謡と踊りが中国南部の茶産地で広く流行しています。
茶摘み姉妹が茶畑に登る 茶畑に登る
山いっぱいの茶の木を手で植える
苦労のあげく庭いっぱいになった
3人組の実力派ガールズグループ・黒いアヒル(黒鸭子)が歌う「採茶歌(茶摘み歌)」は個人的に大好きな茶摘み歌です。黒いアヒルのコンビは、茶摘み娘たちが茶園で働いて、収穫する喜びを完璧なハーモニーで表現しています…
茶山ラブソング
台湾のベテラン女性シンガー・ミッシェルパンが歌った「茶畑ラブソング(茶山情歌)」も個人的に大好きなラブソングです。貴州民謡・山歌の独特な旋律に富んだオープニングは、人々を雲や霧に包まれた山々、澄んだ渓流に囲まれた谷に誘ってくれます。ミッシェルパンの神秘的でロマンチックな歌声は、山奥に住む女性の、好きな人に対する大胆で熱烈な告白を歌っていて、心に響きます。
お茶の香りがして 水も澄んでいる
清水の茶を好きな人にささげる
あなたが山に登るのを休めるなら
どうぞ新茶を一口召し上がってほしい
私はそっと聞きたい
あなたの故郷にこのような茶畑はありますか
茶畑に茶摘み娘はいますか
娘の中にあなたの大切な人はいるのでしょうか?
ミッシェルパンの歌声には神秘的なセクシーさがあり、その魅力的な歌声は歌にパワーを与えていて、思わず惹きつけられます。彼女の歌声を聞いていると、目の前に美しい茶摘み娘が甘くておいしいお茶を好きな人に差し出すため、山道で夢中になってその相手を待っている姿が眼に浮かぶようです。ミッシェルパンの心のこもった歌声をあなたはどのように感じるでしょうか?