【観察眼・「十四五」特別企画】 (6) 中国の教育体系、コロナ禍で露呈した課題の解決へ

2021-02-24 16:30  CRI

 2021年は中国にとって大きな意味を持つ年です。中国共産党の創立100年目――即ち「一つ目の『百年の奮闘目標』」(建党100年目までの“小康社会”の完成)の目標年に当たり、また「二つ目の『百年の奮闘目標』」(新中国成立100年目までの強く豊かで民主的・文明的な調和のとれた社会主義現代化国家の構築実現)においても、重要な前進の一年になります。

 そして、もう一つの注目は「国民経済と社会発展の第14次五カ年計画(2021-2025年)」の発足年となることです。第14次五カ年計画は今年の全国人民代表大会で審議・採択される見込みとなっています。

 これに際して、日本語部独自の評論コーナー『観察眼』では、第13 次五カ年計画(2016-2020年)期間の躍進を振り返り、この先の5年を展望するシリーズ「振り返れば歩んで来た道 新たな旅路は続く」を企画しました。

 中国の新年に当たる春節の時期に合わせて、ジャンル別に配信していきます。

評論シリーズ「振り返れば歩んで来た道 新たな旅路は続く」

 第6回  中国の教育体系、コロナ禍で露呈した課題の解決へ

 3月からは各地の小中学校は始業式を迎える。オンライン教育が大きな議論になった去年のことを思えば、キャンパスに無事戻り、教師とクラスメートとともに新学期を迎えることができる我が子の姿をみて、ほっとした親が多いに違いない。

 2020年、コロナ禍で教育の風景が一変し、年に一度の全国大学統一入試が1カ月も延期しての開催となった。1071万人に上る受験生の健康を確保するため、全国各地に設置された40万箇所の試験会場では厳格な人数制限が行われた。社会各界が一丸となった取り組みにより、受験準備、入試、採点、合格発表などいずれの段階も計画通りに行われることができた。感染症の流行という特別な年ではあったが、大勢の受験生たちは無事人生の新しいページを開くことができた。これに関して、中国で活躍している日本人監督の竹内亮氏は2020年の中国の大学入試に密着取材して、ドキュメンタリー映画を作った。その作品から、中国全土がコロナ禍の中、大学入試の無事開催に向けた非凡な努力を見て取れる。

 中国では各種の教育活動は感染症の影響はあったものの、無事行われたことができた理由は、まずは社会全体にある教育重視の姿勢を挙げることができる。「子どもが優れていれば、国も優れる(少年強則国強)」という言葉が広く伝わっている。青少年の順調な成長、これは中国の最高指導者も気にかけている重要なことである。2019年の入学率をみれば、幼稚園83.4%、9年間義務教育(小学校・中学校)94.8%、高校89.5%となっている。第13次五カ年計画(2016-2020)の期間中、大学卒業生は合わせて4088万人に上り、新卒生の就職率は77%以上を保っている。間もなく審議入りとなる『国民経済社会発展第14次五カ年計画』の関連文書では、質の高い教育システムの構築と2035年までに「教育強国」入りするという目標の実現を明確に掲げている。

 一方、依然と発展途上国である中国は東部と西部、都市部と農村部に依然として大きな格差がある。教育改革の深化、公平性の改善、義務教育のバランスの取れた発展、そして都市と農村の格差是正をめざす都市・農村の一体化事業の促進が急務と言える。しかし、どんなに貧しくても教育だけは確保するという素朴な考えにより、多くの貧困家庭の子供も学業を続けることができた。

 中でも、第13次五カ年計画期間中に実施された「重点大学の農村部・貧困地区での学生募集に関する国家特別計画」により、貧困地区の学生52万5千人が重点大学に入学した。貧困家庭の学生への支援に7739億元が拠出され、そのメリットを受けた学生の延べ人数が3億9100万人にも上っている。北京大学を例に、昨年合わせて2894人の新入生を募集したが、その中の約300人が国家貧困支援計画(貧困地域で学生を募集し、卒業後に貧困地区に戻って就職や創業することをサポートする計画)と同大学独自の「築夢計画(農村部出身の優秀な学生を募集する計画。農村部と貧困地区の学生に良い教育資源を与え、教育の公平性をキープすることを主旨とする)」を通じて募集した人数であった。

 教育の公平性を実現させるための努力は、次第に成果を収めているものの、感染症の流行で顕になった問題もある。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、学校教育が余儀なく中止された中、学校での教育を補うオンライン教育が重要性を見せていた。インフラ整備がまだ整っていない地域では、オンライン教育の実施が困難で、効果も不十分だったという問題が指摘されている。同じく感染症の影響を最小限に食い止めたい発想ではあるが、都市と農村にあるれっきとした格差も顕になっていた。

 そういう意味から、「教育強国」や「学習型社会」の構築を目指す中国は、第14次五カ年計画期間中にも大きな課題を抱えていると言える。オンライン教育の難問を解き、教育の公平性を改善させ、都市部と農村部の格差をさらに縮め、ハイクオリティの教育システムを完備させることが必要であろう。

 戦国時代の思想家孟子は、「天下の英才を得て之を教育す」ことを3つの楽しいこと(「三楽」)の一つとしていた。知識を求める生徒たちに平等に教育の機会を与え、彼らを社会の英才として育て上げること。これは中国の教育事業が直面している課題ではあるが、中国の発展に無限な可能性をもたらす有意義な事業でもある。(CRI日本語部論説員)

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10月29日放送分
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王帅