北京
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30歳になる宅配便配達員の李さんにとって、今年の丑年春節はいつもと違っていた。河南省出身の李さんは北京で仕事をするようになって何年にもなるが、北京に留まって年越しをするのは初めてだった。李さんは同僚と共に、会社が手配した年越し料理を賞味した。一風変わった団欒(だんらん)の味だったという。
李さんの選択は、その他の多くの中国人の選択でもあった。中国人がそうしたのは、政府の呼びかけに応じて感染症対策のために自分自身の努力を尽くすためだった。
中国人にとって、容易な決断ではない。まず、春節とは中華民族にとって最も大切な伝統的祝日であることを考え合わせねばならない。1年間の苦労に満ちた仕事を終えた中国人にとって、家族との団欒の時は最も厳かな時間なのだ。道のりがどんなに遠くても帰省するものだ。そのため、年に1度の春運(春節期の特別輸送)は、「世界最大規模の人口移動」と形容されている。
事前予測ではあるが、中国の2021年の春運期間中の旅客量は、2020年比で2割以上、2019年比で6割以上減少とされていた。ある調査では、農村部出身で都会に出て仕事をしている農民工の77%以上が、企業内または都市に留まって年越しをすると回答した。活気にあふれる「流動の中国」が、「その場に留まっての年越し」による平穏な祝賀へと、中国の庶民の年越しの方式は変化した。社会のガバナンスのレベルと心の温かさの向上が反映された結果だ。
多くの外国メディアも、いつもとは違う中国の春節に注目した。英国紙「デーリー・テレグラフ」(電子版)は先ごろ、現金補助や無料の映画チケットによる福利厚生など、中国はさまざまな方式を用いて、「その場に留まっての年越し」を奨励していると報じた。ドイツ紙「ベーザー・クリアー」(電子版)は、中国では人々が和やかで健康的な春節の祝賀活動を行うよう、各地で積極的な奨励措置が制定されたと紹介した。
過去1年間の感染症による試練を経て、中国社会のガバナンス能力は明らかに緻密さと人間性を向上させた。中国人の「家族と過ごしたい」との願いと国としての感染症対策の必要性が遭遇した時に社会が示した温情や温かい心は、中国国外に強い印象をもたらした。(CRI論説員)