北京
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新型コロナウイルスの発生源を調べるため、世界保健機関(WHO)が湖北省武漢市に派遣した国際調査団は連日、武漢の金銀潭病院、華南海鮮卸売市場などを訪れ、3日には中国科学院武漢ウイルス研究所を調査した。調査団の研究所滞在は4時間ほどとなった。そこで、調査団の一員で、新型コロナウイルスの起源について「コウモリを調べる必要がある」との考えを持つ米国の動物感染症専門のピーター・ダザック氏は、「バットウーマン」の異名を持つ研究者・石正麗氏らと面会した。その時の様子について、「率直でオープンに議論した。重要な質問にも返答があった」と明かした上、「この実験室の研究がウイルスの真相にとても近づいているからこそ、一部の人がわざと中傷するのかもしれない。これはとても皮肉なことだ」と語り、米国のトランプ前政権が主張していた武漢ウイルス研究所からの流出については、否定的な見方を示した。
また、ロシア人の疫学専門家ウラジーミル・デトコフ氏が、「研究所の実験室は設備が良い。ここから(ウイルスが)漏れたとは考えづらい」と話した。流行初期には、新型コロナウイルスが同研究室から誤って流出したのではないかとの臆測も広がったが、この説を裏付ける証拠は見つかっていない。
米国メディアも新型コロナウイルスが武漢研究所から流出したという陰謀論を吹聴した。特に、ワシントン・ポスト紙がこの陰謀論の拡散に拍車をかけた。今回、調査団の調査によって、ウイルス流出の疑惑を晴らした。これは中国にとって朗報である一方、米国をはじめとする一部の国を失望させる結果ともなるだろう。そのため、「WHOの調査には受け入れ国の同意が必要で、限界がある」、「10日頃まで続くとみられている、残りの調査も中国主導で進む」ということなどを口実に、「中国の主張にお墨付きを与えるだけの調査に終わりかねない」と懸念を示している。これに対して、調査団の専門家ダザック氏は、「調査団が訪問したい場所や面会したい人のリストを事前に中国側に提供していた」とし、いずれも拒否されることはなかった。「行きたいと言った場所には全て行き、会いたいと言った人には全て会うことができた」と述べ、その開放性と透明性は予想外だったと明言した。
ウイルス発生源の遡りは連続的かつ複雑な科学的問題である。調査団メンバーで、オーストラリアの微生物学・感染症専門家のドミニク・ドワイヤー氏はその複雑性に驚きを示した後、ウイルスの起源解明には数年かかる可能性があるとの見通しを示した。そのため、今後、WHO調査団は足を延ばして、世界各国や各地域へ赴き、新型コロナウイルスの発生源を調べる必要がある。また、この調査には国際協力が欠かせない。今後、各方面が積極的かつ科学的、協力的な態度で調査団に接し、新型コロナ感染症の早期終息や人類の公衆衛生共同体への構築に責務を果たすことを期待している。(CRI日本語部論説員)