北京
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映画の中のサウンドトラックは女性のメイクに例えられ、派手すぎるとけばけばしいと言われます。でも化粧をしないと美人でも色気が足りないのではないでしょうか。良いサウンドトラックは映画の画面と雰囲気に巧みにマッチし、調和のとれた境地に達することができます。今、日本の映画音楽のレベルはアジアひいては世界でも優れているため、多くの中国映画音楽が日本のミュージシャンによって製作されています。今回の中国メロディーは中国映画の中で日本のミュージシャンが創作した優れた映画音楽を楽しみましょう。
喜多郎の「宋家の三姉妹」
喜多郎は1980年代、NHK製作のドキュメンタリー番組「シルクロード」の音楽を担当しました。その感動的なテーマ曲は多くの中国人の胸に刻まれています。1990年代、喜多郎は香港映画「(宋家皇朝)宋家の三姉妹」で西洋のオーケストラと中国の伝統的な管弦楽・糸竹楽を取り入れて、中国近代史に風雲を巻き起こした宋氏一族の波乱に富んだ物語を再現しました。
映画「宋家の三姉妹(宋氏王朝)」は、20世紀前半、中国の名士・チャーリー宋の娘として生まれた三姉妹それぞれの人生を描くことで、辛亥革命から抗日戦争までの中華民国の歴史を表現しました。宋家の三姉妹は20世紀の中国で最も地位を誇った姉妹と言われています。次女の宋慶齢は中国革命の父・孫文と結婚し、国母として尊敬されました。三女の宋美齢は国民党総裁の蒋介石と結婚し、宋家の権勢を頂点に押し上げました。長女の宋靄齢は大財閥の当主・孔祥熙の妻として、財を積むことに長けていました。そんな三姉妹は近代中国史に大きな影響を与えました。
喜多郎のサウンドトラックは音楽という言葉でストーリーを進め、観客の心を揺さぶります。テーマ曲の冒頭は、静かな竹林、鳥のさえずり、夕暮れの寺の鐘の音で始まります。その後、ピアノの音色が登場し、まるで歴史を見抜いた証人が大革命時代の伝説的な物語を語っているような雰囲気です。音楽は百年前の波乱万丈な歴史絵巻を再現したもので、姉妹間の愛情、夢のために戦う決断、血なまぐさい政治的権謀があります。
梅林茂の「2046」
梅林茂は中国映画のために最もたくさんサウンドトラックを作った日本人かもしれません。王家衛監督の「花様年華(かようねんか)」、「2046(ニーゼロヨンロク)」から、張芸謀監督の「(ラヴァーズ(十面埋伏)」、「王妃の紋章(満城尽帯黄金甲)」まで、どの曲も完璧だと言えます。
映画「2046(ニーゼロヨンロク)」は1960年代、トニー・レオン演じる作家・周慕云が数人の美しい女性たちとの物語を書いた小説が舞台です。不思議な音楽の世界はこの映画で非常に重要な役割を果たしています。映画 のテーマ曲はチェロをメインにしていて、非常に壮大なオープニングです。その壮大さは工業化社会が作り出す都市ジャングルの厳しさと隔たりを表し、その画面感あふれる音楽は本当に臨場感たっぷりです。