【観察眼】中国の「天眼」、人類が宇宙を探る共通の目に

2021-01-15 17:05  CRI

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 西南部の貴州省にある「中国天眼」と呼ばれる直径500メートルの球面電波望遠鏡(FAST)は現時点で、世界最大級の電波望遠鏡である。2020年1月11日に正式に開放され、稼働を開始した。その約1年後の2021年1月4日、中国科学院国家天文台は、「FASTは国外の科学者からの観測申請を4月1日からオンラインで受け付ける」と発表した。それによると、申請案件は、「中国天眼」科学委員会と時間配分委員会で審査され、選考意見が出されて、8月1日より観測時間が配分される。なお、2021年に外国の科学者に割り当てる観測時間は全体の約10%の見通しになるという。

 計画の提案から完成までに22年間と約7億元(112億円)が費やされたFAST。その目的はパルサー、中性水素、星間分子と異星文明のシグナルを探すことも含めた、宇宙の起源と進化、暗黒物質、宇宙の進化を研究することである。

 一方、FASTの完成までは「地球の目」として知られていた世界最大級の電波望遠鏡であるアレシボは1963年に稼働を開始した。アレシボは天文学と気象学などにおける研究に大いに貢献してきたが、関連予算が十分についていなかったため、点検や補修、設備の更新などが行われず、技術も遅れた。世界的な総合学術雑誌「ネイチャー」の編集者Alexandra Witze氏は2016年1月10日付の「ネイチャー」に「伝説的なアレシボは暗い未来に直面する」と題する文章を掲載した。この中で「アメリカ国立科学財団が、すでにアレシボの優先度が最底辺に置かれており、今後は予算が削減されて別の新たな分野に振り分けられるとみられている」と記した。2017年8月20日、日本のIT系ウェブサイト・GIGAZINE(ギガジン)に掲載された「中国が宇宙人発見を目指す世界最大の望遠鏡、責任者を募集するも応募者ゼロ」と題する文書には、「欧米の天文学者の間では、FASTが掲げる科学的な目的について懐疑的な見方も広がっているとのこと。今回、中国が稼働を開始したFASTははたして現代の科学において有用なデータがどれほど取れるのか、疑問を呈する見方が広がっている」と書かれていた。

 しかし、アメリカのアレシボと比べれば、FASTは直径が約200メートルも長く、総合的な観測能力が約10倍も向上している。2016年9月に建設が終わり、試運転を行なって以降、パルサーを240個以上見つけており、FASTを通じて取得されたデータに基づくハイレベル論文は40本以上に達した。そのうち、高速電波バースト分野の研究論文が2020年11月5日付の「ネイチャー」に発表されている。世界トップのレベルを10~20年にわたって維持できるとも見込まれており、名実ともに中国最先端、そして世界最先端の電波望遠用である。

 非常に残念なことに、アレシボは2020年12月1日に突然、崩壊した。Munenori Taniguchiと名乗るユーザーは1月5日、世界的に有名なIT系ウェブサイト・Engadget(日本語版)に文書を掲載し、その中で「アレシボを運営してきた全米科学財団は、アレシボの運用を終了し、設備を解体するとの方針を示した。しかし、プエルトリコの知事は800万ドルの資金を投じることを決定し、再建に向けた動きが出ている。仮にアレシボの再建が決まったとしても、それが運用可能になるには少なくとも数年の月日がかかるはずだ。FASTを使った観測の開放は天文学者らにとっては非常にありがたい話と言えるだろう」とした。

 現在、世界中の宇宙研究者はFASTに目を向けている。関係筋の話では、FASTを使って関連研究を続けたいという要請がすでにたくさん寄せられている。米CBS放送はそこから報道の価値を見出し、去年末、貴州省を訪れて現地取材した内容を12月26日放送の「CBS this morning」という番組で放送した。番組にゲスト出演したアメリカの天文学者は、「私たちは確かにこのような望遠鏡で宇宙を探る必要がある」と何度も強調していた。

 国家天文台の4日の発表は、中国は世界最先端科学技術設備であるFASTを世界と分かち合うことを意味する。もっとも、このことは中国科学院国家天文台がプロジェクトの始動当初から、国際的な慣行に基づいて確立した原則でもあり、人類の宇宙への認識を深めることに役立つことが目的だという。とりわけ、天文学の発展に大きな貢献を果たしてきたアレシボの崩壊が背景にあることを考えれば、この発表の意義の大きさは言うまでもない。中国は科学技術分野において「人類運命共同体」の理念をしっかり実践していることの表れだとも言える。今後も世界各国の科学者の連携の下、FASTが宇宙の未知を探索する上で、引き続き大いに活躍することを心から期待したい。(CRI日本語部論説員)

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