北京
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フランキーチェン(陳勳奇)は香港映画界に公認された万能なスターで、彼が脚本や監督を手がけた、あるいはサウンドトラックを担当した映画は30本以上あります。その中で「東邪西毒(楽園の瑕)」などの映画のために創作した音楽は香港映画サウンドトラック史上最高の作品となっています。今週の中国メロディーは香港の映画音楽の聖手--フランキーチェンが映画「東邪西毒(楽園の瑕)」のために創作した映画音楽作品を紹介しましょう。
1980年代、フランキーチェンは有名な作曲家・王福齢に学び映画音楽の創作を始め、90年代に創作の黄金期を迎えました。当時、香港・マカオ・台湾の70%の映画音楽はほとんど彼の創作で、多くの名監督から音楽を依頼されました。しかし、彼の才能を大いに輝かせたのは王家衛監督のアクション映画「東邪西毒(楽園の瑕)」で、この映画のサウンドトラックはアジア映画の最高峰の作品と讃えられています。
天地孤影任我行(天と地を私の思うままに行く)
94年に王家衛監督の映画「東邪西毒(楽園の瑕)」が公開され、その優れたサウンドトラックは中国音楽界を驚かせました。映画は主人公たちの愛情、裏切り、孤独な世の物語を描いています。映画のサウンドトラックは迫力に満ちあふれていて、波乱万丈な世の中を作り出しています。映画の主題歌「天地孤影任我行(天と地を私の思うままに行く)」は香港映画史上の名曲となりました。「天地孤影任我行(天と地を私の思うままに行く)」はこの映画の序曲です。せわしない太鼓の音が緊張した雰囲気を醸し出して、広々とした天地の間で決闘を準備する二人のカンフーの名手が対峙していることを連想させ、悪戦苦闘がいまにも爆発するかのようです。緊迫した雰囲気が盛り上がった後の音楽は悲しみを帯び、主人公の孤独を表現します。
昔情難追(昔の恋は追えない)
「東邪西毒(楽園の瑕)」の中では複数の恋の物語が展開されています。その中で主人公・欧陽峰の悲恋は最も印象深いものです。昔の恋人が腹を立てて自分の兄に嫁いだため、男は心を痛めて故郷を遠く離れて砂漠の町に隠居してしまいます。音楽「昔情難追(昔の恋は追えない)」は、このような孤独と無力、そして一抹の悔しさを表現しています。特にギターが奏でるカモメの鳴き声には、多少の恨みが混じり、昔の恋人が死ぬ前の遺憾を生き生きと描いていて、感動を呼びます。私が選ぶとすれば、この曲は、映画の中で最も優れたサウンドトラックの1つだと思います。
挚爱(最愛)
「挚爱(最愛)」は王家衛監督の映画「東邪西毒(楽園の瑕)」のサウンドトラックで、淡々としたラテン風のギターの音色で愛に満ちたメロディーを表現しています。また、空一面に広がる黄砂の砂漠ならではのロマンを表していて、主人公の心の痛みを訴えているかのようです。愛する人は目の前にいます。しかし力がなくてつかむことができず、ただ大切な人からみすみす離れていくしかない。心の中は苦しくて、絶望的で、涙で自分を慰めるしかないのです。
追憶(回想)
「追憶(回想)」はマギー・チャン(張曼玉)が演じる兄嫁が自分と主人公・欧陽鋒がかつて恋をした美しい過去の回想を描いた場面の挿入曲です。二人の間には真摯な愛情がありましたが、ただすべては過去のものとなり、恋はお互いの思い出の中にしか残っていません。映画の中の主要人物はすべて、自分が心から愛する人を得ることができなくて、ただ思い出の中で余生を送るしかできない苦痛を経験しています。