北京
PM2.577
23/19
激動の2020年が終わりを迎えようとしています。世界は様々な未曾有の事態に直面しましたが、危機の中でも相互に理解することが大切なのだと、改めて噛み締める一年でもありました。
日本語部オリジナルの評論コーナー「観察眼」ではこの一年、中国国内の話題を紹介し、中日間の問題や国際問題への見解を示すことで、読者の皆様に中国への理解を深めてもらおうと努めて参りました。
2020年の締めくくりとして、今年のキーワード「新型コロナ」、「中日関係」、「環境保護」、「電子ビジネス」、「対外開放」、「貧困脱却」をテーマに、評論員たちがこの一年を総括します。
第三回テーマ「対外開放」
コロナ禍にも阻止できぬ対外開放の足取りは、更に先へ
突如発生した新型コロナウイルス感染症は、2020年から「常態(ノーマル)」であることを奪った。一時的に扉を閉ざす国も出てくるなど、繋がっていたはずの世界は引き裂かれ、交流が極めて難しくなった。一方で、どこよりも早く感染症の流行を抑え込んだ中国は、新常態(ニューノーマル)に適合した感染症予防・抑制措置を取りつつ、開放の足取りを一刻も緩めないばかりか、更に開放を広げ、そして深めている。
中国は今年、深セン経済特区成立40周年や上海浦東開発開放30周年といった盛大な祝賀の場で、「持続的な対外開放を進めていく」とのシグナルを全世界に発信した。9月には北京で国際サービス貿易会が大きな成果を収め、11月に上海で開かれた第3回中国国際輸入博覧会では意向制約額が過去2回の記録を塗り替えた。また、中国も加わった「地域的な包括的経済連携協定(RCEP)」が調印されたことで、世界最大規模の自由貿易圏が誕生した。これら一連の出来事には、断固として改革を深め、よりハイレベルの開放を実行していくという中国の決心が表れている。
その決心に信頼で報いたのは海外の投資家たちだ。中米貿易摩擦の激化にも関わらず、米中貿易委員会が11月11日に公表した調査結果では、アンケート対象の米企業のうち実に7割が中国市場の今後5年間への信頼を示し、87%の企業が「中国から生産ラインを撤収する計画はない」と回答した。撤収どころか投資への意欲が高まっていることが分かるデータもある。商務部の統計では、今年1〜7月に新設された外国企業は1万8838社に上り、その内訳は米企業が860社、韓国が849社、シンガポールが584社、そして日本企業が415社となっている。また、今年上半期には1億ドル以上の外資投資プロジェクトが320件もあったということだ。
一連の数字から分かるのは、新型コロナの流行と国際的な不確定要素の影響を受けても、中国市場が持つ外資の吸引力は変わっていないどころかむしろ増しているということだ。その背景には、整いつつある政策と、不測の事態にも耐えうるサプライチェーンと産業チェーンの存在があった。
中国の開放とは扉を開くことだけではない。積極的に外に出ていくことも重視されている。今年は貿易分野が苦境に立たされた年であったはずだが、中国の輸出入総額は11月までの統計で29.04兆元(約458.34兆円)となり、去年同期より1.8%増え、国際市場に占める割合も向上した。
中国は過去40年間にわたって開放政策を継続し、外部の力を借りることで国内経済を急発展させてきた。それに伴い産業構造もグレードアップしている。こうした経験を踏まえれば、開放の扉を開いていくことが更なる発展に繋がり、積極的に外に出ていくことが中国経済にも世界経済にも更なるチャンスを生むのだということは明白であろう。
習近平国家主席は今年、国内の経済循環を中心に据えつつ国際的な経済循環と結びつける「双循環」の概念が提唱した。これについて当初は「中国は苦境に直面して国を閉ざしていくのでは」という懸念の声もあったが、それは杞憂に過ぎない。実際のところ、中国は新しい発展の枠組みの中で、よりハイレベルの開放を遂行していくことになる。開放性と包容力を併せ持つ中国は、開放の成果を全世界と分かち合い、ウィンウィンの局面を追及していく。それはこの国の根底に「人類運命共同体」の理念がある限り、変わることはない。(CRI日本語部論説員)