北京
PM2.577
23/19
激動の2020年が終わりを迎えようとしています。世界は様々な未曾有の事態に直面しましたが、危機の中でも相互に理解することが大切なのだと、改めて噛み締める一年でもありました。
日本語部オリジナルの評論コーナー「観察眼」ではこの一年、中国国内の話題を紹介し、中日間の問題や国際問題への見解を示すことで、読者の皆様に中国への理解を深めてもらおうと努めて参りました。
2020年の締めくくりとして、今年のキーワード「新型コロナ」、「中日関係」、「環境保護」、「電子ビジネス」、「対外開放」、「貧困脱却」をテーマに、評論員たちがこの一年を総括します。
第一回テーマ「新型コロナ」
“パンデミック”なればこそ、「全ての人々」で共に乗り越えるべき
パンデミックの語源は「全ての人々」
この一年を代表するキーワードと言えば、何よりもまず「新型コロナ」、そして「パンデミック」だろう。「パンデミック」の語源は、「パンデミア」というギリシャ語で、「パン」は「全て」、「デミア」は「人々」を意味するという。「全ての人々」を巻き込む災いなのだから、やはり「全ての人々」の力で立ち向かわねばと思わせてくれる由来だ。そしてこの考えは、中国が支持・提唱している「多国間主義」や「運命共同体」といった理念に一致するものだ。
国際協力をする国ほど抑制に成功している
この一年の各国の感染症対策を振り返って分かるのは、国際協力を強化してきた国ほど、新型コロナの流行抑制に成功しているということだ。一方で、独りよがりな対策を行い、デカップリング(切り離し)を主張してきた国は未だに厳しい状況に直面しているのが現状だ。例えば、米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長はこのほど、米国の一部の地域では医療システムが崩壊の危機に瀕しており、今年末には、死者数が驚愕の30万人を超える恐れがあると明かした。
中国はこの一年、感染症対策における国際協力を深めるため、一連の行動に出た。中国は当初、わずか1週間余りで病原体を突き止め、ウイルスの遺伝子配列情報を公開し、世界保健機関(WHO)と密な連絡を保って、各国に速やかに情報を伝えた。そして中国が最も困難な時期に国際社会が迅速に援助の手を差し伸べてくれたことは、中国人の記憶に新しい。国内の状況が好転すると、中国はすぐさま支援と協力に乗り出した。今年6月までの時点で、中国は合計27カ国に29の医療専門家チームを派遣し、150カ国と4つの国際機関に支援を提供するとともに、200の国と地域に防疫物資を輸出した。それだけでなく今後は、感染症の影響を受けた国々――特に発展途上国の感染症対策や経済・社会の回復発展の後押しに用いるため、2年以内に20億ドルの国際援助を提供することや、国連と協力して人道支援用緊急倉庫とハブを設立し、一部の国の病院間でペアリングメカニズムを創設することなどを約束している。いずれも、全ての人々が共に助け合い、助かるための取り組みだ。
経済回復とワクチン協力も「パンデミア」で
世界経済の回復においても、「パンデミア」の理念は不可欠だ。それは即ち、多国間協力である。今年の春、世界経済がほぼフリーズ状態に陥る中で、どこよりも早く感染拡大の収束期を迎えた中国は、生産活動と事業の再開に力を注ぎ、国内経済を回復させるとともに、世界の産業チェーンの安定維持にも貢献した。また、コロナ禍でも国内GDPのプラス成長を達成した唯一の国として、中国は今年、中国国際サービス貿易交易会や中国国際輸入博覧会、中国・ASEAN博覧会を相次いで開催し、開放の拡大を続ける確固たる決意を示した。中国の公式統計によると、今年1月~8月、中国と「一帯一路」沿線諸国の対外貿易輸出入総額は5兆8600億元に上り、前年同期より0.5%増加した。また中国企業の「一帯一路」沿線諸国に対する非金融分野の直接投資は118億ドルで、こちらも前年同期比31.5%増加している。自国の経済循環を回復させることで、世界の経済循環へ良い影響を与えていく。その「双循環」の根底には、誰一人置き去りにしてはならないという強い意志がある。
そして、これからのカギとなるのはワクチンの存在だ。ワクチンの公平な分配を促し、発展途上国へのワクチン提供を確保するため、中国はこの10月に新型コロナワクチン共同購入・分配の国際枠組み「COVAX」への参加を発表した。そして、自らが開発した新型コロナワクチンを世界の公共財にすると公言し、実際にブラジル、インドネシア、アラブ首長国連邦(UAE)などにすでに提供を始めている。
国境なき脅威に、国境を超えた協力で立ち向かおう
「ウイルスの脅威に国境はない」という言葉を、今年はよく見聞きした。なれば、ウイルスに立ち向かう側も国境を超越しなければならない。いかなる国であろうとも、国際社会の援助と協力無しには新型コロナウイルスから身を守ることはできない。このパンデミックに直面して、団結と協力という言葉の意味を強く実感した人も多いだろう。2021年の感染症対策と世界経済はどのような進展を見せるのか。依然として不確実性に満ちており、反グローバル化や一国主義の台頭も深刻と言える。そんな状態だからこそ、我々は「パンデミア」として、一丸となって困難を乗り越えるべきである。そうすれば必ず、より良い未来が全ての人々の眼前に開けることだろう。(CRI日本語部論説員)