北京
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新疆ウイグル自治区では、ナシ、アンズ、リンゴなどの果物が沢山取れます。ネット販売や物流が発達していくにつれて、こうした美味しい果物が消費者の手にスムーズに届くようになり、関連産業の発展にも大きくつながっています。
新疆アコス地域で生まれ育った33歳のアイサンジェさんは、2012年に大学を卒業すると、故郷に戻り、父親と一緒に50ムー、およそ3ヘクタールのナシ園を経営していました。しかし、ナシは4月末から腐り始めてしまい、収穫したナシを全て販売することは望めず、収入は少なかったといいます。
今年3月、一足先にネット販売を始めていた李成俊さんがアイサンジェさんの家にナシの買い付けにやってきました。その時、李さんのところのナシはすでに完売したのに対し、アイサンジェさんのところはまだ沢山残り、保存費用だけでも相当かかっていました。アイサンジェさんは李さんからネット販売を勧められましたが、まったく経験のないこの新しい経営モデルに半信半疑で、気が乗りませんでした。
一方で、わずか一週間で40トンものナシを売る李さんの実績を目にし、アイサンジェさんは衝撃を受けました。徐々に心が揺れ始めます。なぜなら、40トンという量は数ヶ月の販売量に相当するからです。
ナシが腐り始める4月末が近づいてきたこともあり、アイサンジェさんは思い切って李さんのネット販売に参加することにしました。その結果、アイサンジェさん一家だけでなく、親戚や友人達のナシも完売となり、思いもしない利益をあげることができました。
そして、アイサンジェさんは李さんをはじめ、あわせて4人の若者でネット販売の会社を作ることにしました。アコス市政府も大きくサポートし、3年間の家賃や水道・電気代、管理費を免除したほか、パソコンや机、椅子などの事務用品も整備してくれました。
4月に設立された会社は半年も経たないうちに取引金額が1700万元、およそ2億7000万円を超えるまでになり、大成功を収めました。これほどの成果をあげるとは当初、誰も予想しなかったものです。ピーク時は、一か月の配達料金だけでも60万元、およそ1000万円かかったということです。
ビジネスの成功につながったのは、ネット販売という新しい経営方法だけでなく、もう一つ秘密があります。それは、果物農家に高い値段で買い付けを行う一方、品質向上のため、ランクに分けて包装してもらうということです。長い間、現地では果物をランク分けすることがなかったため、いい値段がつけられませんでした。ランク分けを通して、品質の保証、ブランド名の確立、値段の上昇など、一連のメリットがもたらされ、従来の経営に活力が注ぎ込まれました。
「小康社会に向かう中国人の暮らし」、今回は新疆ウイグル自治区で果物のネット販売で大成功した話をお届けしました。お相手は王秀閣でした。ではまた来週、お楽しみに。(閣)