北京
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23/19
交流会でファンと語り合う竹内亮監督
「今後もありのままの武漢を伝え続けていく」――ドキュメンタリーの話題作「お久しぶりです、武漢」で知られる竹内亮監督が5日武漢で、全国各地から駆けつけた200人あまりのファンを前に、このように意気込みを語りました。
■竹内監督:武漢にまたやってきました!
この日の午後、南京在住の竹内監督は「和之夢」制作陣を率いて、武漢市内のショッピングモールで作品鑑賞交流会を開きました。交流会用に特別編集された80分バージョンの「お久しぶりです、武漢」(配信版は60分)の上映後、竹内監督は妻で、「和之夢」代表の趙萍プロデューサーとともにステージに立ち、出演者や撮影クルーとともに来場者からの質問に答えました。
司会進行を兼ねる竹内亮監督(右)と「和之夢」代表の趙萍さん(右)
会場の様子
竹内監督は、「年末に武漢でファンミーティングを開催するのは、ロケをした際に決めたこと。無事実現できたのは、感染抑止の成果がしっかりしていることのお陰で、とても嬉しい。一人でも多くの人に武漢観光に来てもらい、地元の経済にも貢献してほしい」と呼びかけに応じた来場者に感謝の気持ちを表しました。
■出演者:武漢の日常を世界に伝えてくれてありがとう!
「お久しぶりです、武漢」は、76日間の都市封鎖を体験した武漢市民10人の物語です。作品は6月下旬に完成し、中日英三カ国語で無料配信された後、たちまち全世界で3000万回余りの再生回数を記録しました。今回の出演者10人のうち、8人が交流会に参加しました。
交流会に参加した出演者たち
交流会に参加した出演者たち
交流会に参加した出演者たち
出演者の一人である日本留学歴のある日本料理店の経営者は、「私は東日本大震災を日本で体験したが、その時のことは数枚の写真以外は何も残っていない。娘たちに映像の形で記録を残したいと思い応募した。この作品の意義は世界に武漢のありのままの日常を伝えたことにある」と話しました。また、新型コロナで祖父を亡くし、親族にも感染者が出た看護師は、「記憶がいつか風化されることを恐れている。その上、回復して退院した人は、差別されるべきではないという発信をしたい」と心中の思いを訴えました。そして、ドローンを飛ばしながら街の風景を記録し、自作のラップで武漢グルメを発信し続けている中学校の英語教師は、「人は自分のことをありのままの姿で見られ、聞かれ、知られたいと思っている。これは人間だからこそのニーズだ。そういう意味で、武漢のことを伝えてくれた竹内監督に心から感謝したい」と感想を述べました。
交流会に参加した出演者たち
交流会に参加した出演者たち
■来場者:好奇心への確かな答え
会場には、武漢市や湖北省内のみならず、北京、上海、新疆などと全国各地から、SNSを通じて応募したファン約210人が駆けつけました。中には、「和之夢」が5年前から配信開始したドキュメンタリーシリーズ「私がここに住む理由」の初期からのファンもいれば、今回の作品をきっかけに竹内監督の名を知った人もいます。
出演した親友の声がけで来場したという保育士の戴さんは、「これまでにも武漢に関する取材や映像を多く見てきたが、そのほとんどが医療従事者や建設者、ボランティアなどにフォーカスした内容で、一般市民の心の内を取り上げた作品は、この映画だけだと思う」と語りました。
武漢からの保育士・戴さん
また、出張がてらに北京から訪れた会社員は、作り手の国籍は関係ないと指摘した上で、竹内監督の作品について、「視点が斬新で、多くの啓発を受けた。監督自身が出演する場合もあるが、いるようでいないような存在だった。それに、華南海鮮市場の今の様子、店の経営者や結婚を目前に控えるカップルの心理など、私の好奇心にもしっかりと答えてくれた」と満足げな表情を見せました。
北京からの会社員・呉さん
■今後も武漢を伝え続ける 次作「ポストコロナ時代」は年内配信
「お久しぶりです、武漢」の制作陣
交流会では、ここ数日、「和之夢」が武漢で行き交う市民を対象に取材し、制作したショートムービーの予告編が放映されました。今後の予定について、「『お久しぶりです、武漢』はすでに過去の作品。世界各国で武漢に対する偏見が未だ続く中、武漢の本当の姿を今後も伝え続けていく」と名コンビ夫婦の竹内監督、趙萍プロデューサーが力強い言葉で締めくくりました。なお、「ポストコロナ時代」と題する竹内監督の最新作は、現在取材の最中で、今月末のオンライン配信を目指すということです。
(取材:王小燕、星和明、趙雲莎)