北京
PM2.577
23/19
中国初となる「中国輸出管理法」12月1日に発効した。輸出管理の範囲、制度、措置及び国際協力の強化について明確な規定を設けた法律である。しかし、同法の施行は、正常な経済往来に陰を落とすのでは、と懸念する声が一部にある。果たして実態はどうなっているのか。
まず、輸出規制は大量破壊兵器等の拡散を阻止するために、世界でよく取られている対策である。中国は国際義務を履行するため、1990年代末以降、核、バイオ、化学品、ミサイル及び軍用品などを対象に6本の輸出管理条例を整備した。時代の変化とともに、条例を一段と上位にある「法律」へと昇格させることは、自然の動きと言える。
次に、国際貿易の秩序は長い間、米国を中心とした先進国に牛耳られていたが、去年以降、米国が「国の安全保障」を口実に、非居住者への管轄権拡大法(ロング・アーム法)などを発動して、中国企業への引き締めを不当にエスカレートさせ続け、世界経済と自由貿易体制の根幹を揺るがす事態に至っている。輸出管理法は、こうした貿易のいじめ行為への対抗に確固たる法的根拠を提供できる。
3つ目に、レアアースの価格形成について。「工業のビタミン」とも呼ばれているレアアースは、再生不可能な資源である。一方、その採掘と精製には深刻な汚染が伴われる。レアアースの最大の輸出国として、中国は世界約37%の埋蔵量に対して、約9割の国際輸出を支えている。廉価のレアアースの大量輸出は、先進国の先端的なものづくりを支えてきた反面、環境破壊という負の遺産を生産国に残す。これではとても持続可能とは言えず、中国のみならず、世界のSDGs目標の実現にも不利である。レアアースの価格を論じる際、輸出規制の影響よりも環境の視点こそが必要不可欠である。
4つ目に、規制品目と運用の透明性について。商務部は以前から、透明な運用を確保するため、規制品目のリストを順次公開すると予告し、2日に第一陣の発表を行った。その内容は、データの暗号化に関連する製品や技術に輸入許可と輸出管理を行うことだった。世界各国でデジタルトランスフォメーションが進む中、「データ主権」という言葉が近年、欧州をはじめ極めて重視されている。中国の法整備はそうした世界の動きを背景に行われたもので、非難される理由はどこにもない。
「輸入管理法」の施行は、外国との経済往来が恣意に規制されると解釈されがちだが、事実、同法は輸出規制分野での国際協力にも言及している。世界各国と規範に則った正常な経済往来の保障、これこそが同法の真意である。(CRI日本語部論説員)