北京
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11月はじめのある日、内蒙古自治区ダウール族のハブキ村では、雪が止み、晴れ空が広がっていました。少数民族・ダウール族のアウチンカさんは、日差しが差し込む暖かい家で、村の貧困扶助担当の幹部から「貧困から抜け出した」と書かれた書類を手渡されました。アウチンカさんはこの日のために、縁起の良い赤い服を着て待っていました。書類にサインをしながら、彼女は嬉しそうに「できた!できた!」と声を弾ませました。
一連の貧困扶助政策の実施に伴い、内蒙古自治区の人口が最も少ないダウール族など三つの少数民族は、最後の一陣としてようやく貧困から抜け出すことを実現しました。
ダウール族、オウンク族、オロチョン族という三つの少数民族は、内蒙古自治区フルンベル盟で、漁獲や狩猟で生計を立て、ライフスタイルも服装も似ています。ダウール族は8万人、オウンク族2万人、オロチョン族はわずか2000人で、最も人口の少ない少数民族となっています。2014年時点で、貧困人口は1万281人でした。
アウチンカさんが暮らすハブキ村の9割はダウール族で、お年寄りと子ども、そして病気や身障者が多くいます。5人家族のアウチンカさんは、家族のうち3人が病気を患い、生活の重荷は出稼ぎの息子1人にかかっていました。
地域の貧困脱却を図るため、政府は貧困地域にインフラ整備や教育、衛生、文化などの面で財政的支援を行ったほか、移住や産業振興などの措置も講じてきました。
政策では、貧困家庭として登録されれば、生活補助や年金、子どもの教育、医療など基本的な生活が保証されます。アウチンカさん一家は早速登録をして支援を受けました。さらに今年、貧困扶助のための貸付を受けて、牛を飼い、家族一人当たりの年収は1万元になっています。来年、出産を控えている三頭の母牛の前に立ち、アウチンカさんはより一層よくなる生活に憧れながら目を輝かせています。
一方、オウンク族は山から下りて定住するようになり、オロチョン族は民族色豊かな観光業に力を入れています。また、ダウール族は昔からの物々交換のビジネスモデルを生かし、ビジネスに進出しています。
少数民族のこのような大きな変化は、多民族国家の中で、民族間が手を携えて共に努力する姿の表れでもあります。
「小康社会に向かう中国人の暮らし」、今回は内蒙古自治区で最も人口の少ない三つの少数民族の話をお届けしました。お相手は王秀閣でした。ではまた来週、お楽しみに。(閣、星)