北京
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広東省湛江市で始まった家事代行サービスに関する新たな試みが、増え続けている都市部家庭の需要に応えたと同時に、コロナ禍がもたらした就職難の解消にも一役買っています。
湛江市の「家事代行サービススーパー」
今年4月末、同市の家事代行業界団体は「家事代行サービススーパー」という対面式のスタッフ派遣カウンターを市街地のショッピングモール内に設置しました。ここでは、家電のクリーニングや高温スチームによるカーテンの清掃・除菌から、産後の肥立ち(産後の女性が体調を整えるための風習)をサポートする食事提供や母乳マッサージ、推拿(すいな)式ベビーマッサージ、さらには子どもの成長の映像記録まで、10種類の家事代行サービスが提供されています。
湛江市家庭服務行業協会・陳迪会長
講習会の風景
同市家庭服務行業協会の陳迪会長(34)によりますと、この「スーパー」は湛江市人的資源・社会保障局の支援の下で、市内の家事代行サービス10社が共同運営するもので、4月下旬の営業開始から約半年間で8000件以上のオーダーを受けてきました。また、雇用創出と同時に技能教育にも力を入れ、基本資格が取得できる無料講習会と、より高い資格の取得を目指す有料講習会とを、就職希望者向けに定期開催しています。雇用形態は、労働契約を結ばずに仲介料のみを徴収する形だけでなく、正社員として雇用した上で派遣する「社員制派遣」も少しずつ増えています。月収は4500元(約7万円)からスタートし、習得したスキルや取得した資格の数、経験に基づいて1万2千元(約18万円)以上の収入を得ているスタッフもいます。
インタビューに答える林観子さん(左)
「家事代行サービススーパー」は、家事代行スタッフたちが交流するサロンとしても機能しています。仲間との交流を兼ねてベビーマッサージの講習会に参加した林観子さん(46)は地元湛江市の出身で、今年の旧正月までは出稼ぎ労働者として広州市で家政婦の仕事をしていました。ところが、今年は新型コロナの感染拡大で足止めされ、湛江市内での仕事を余儀なくされました。そんな折に「家事代行サービススーパー」の開設を知った林さんは、すぐに社員として登録し、現在は産後ケアの仕事を中心に月収1万元以上で働いています。安定した仕事を確保した林さんは「仕事のスケジュールは来春まで埋まっている」と笑顔を見せました。
中国では家事代行サービス業が成長産業として注目されており、習近平国家主席も全国人民代表大会などの場で「家事代行サービスの促進は、農村からの出稼ぎ労働者に雇用を提供すると同時に、都市部住民の育児や高齢者介護のニーズをも満たせる互恵・ウィンウィンのプロジェクトだ」として、その発展を奨励すべきだと述べています。
講習会を終えた登録者に配布される道具キット。「南粤家政」は広東省が貧困扶助と雇用創出を目指して全省範囲で始めたプロジェクトの名称。2019年から3年間で14億元を支出する予定。湛江市で実施されている一連の講習会もその中の一環
なお、リサーチ会社「艾媒諮詢(iiMedia Research)」の調査報告書によりますと、2018年時点、中国の家事代行サービス業の市場規模は5762億元、従事者は3072万人でしたが、近年は20%余りの年間成長率を保っていることから、2020年の市場規模は8782億元に達すると見込まれています。ただし、都市部の計1億9000万世帯のうち15%の家庭に家事代行サービスへの需要があるとされることから、需要に供給が追い付かず、なり手不足の状況が続いており、今後もその改善を目指して行政、民間の両方から取組みが求められているということです。
(取材&記事:王小燕、斉鵬、李陽、陳木月、梅田謙)
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