北京
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泰山の麓に位置する泰安市の「老街」を散策すると、「泰山皮影戯(泰山影絵芝居)」の劇場に出会える。無形文化遺産の伝統芸能だが、看板は若者や子供にも受けそうなかわいいデザインだ。
(写真)泰安市の「老街」にある「泰山皮影戯」の劇場
「皮影戯(ピーインシー)」は中国に伝わる伝統的な影絵芝居で、2011年にユネスコの第6回政府間委員会で人類の無形文化遺産リストに登録された。中国の「皮影戯」は概ね、三大流派に分けられ、西部は彫刻、北部は節回し、東部は最も複雑な演出の技能を身に付けていると言われる。そのうち、「泰山皮影戯」は演出に特徴があるもので、2007年に中国の国家級無形文化遺産に指定された。
(写真)無形文化遺産「泰山皮影戯」伝承者 範正安氏
「泰山皮影戯」の題材は主に、古くから伝わる泰山にまつわる伝説や物語で、その特徴は、一つの芝居に多くて二人しか必要ない。一人が伴奏で、一人が「影人(影絵人形)」を操るが、一人でも芝居をこなすことができる。これが古くから伝わる「十不閑」という絶技だ。「十不閑」は、足にある鼓、どら、胡弓など8種の楽器と手に持つ影人、口から出す台詞や節回しの全10手段で芝居をこなす。この絶技は1700年の歴史があるが、現在では、泰山皮影戯の6代目の伝承者範正安氏しか完全に継承されていないという。
(写真)影人を操る範正安氏
今年75歳になる範氏は歌唱力と腕の力を保つため、毎日、水泳をしている。芝居のほか、範氏は影人の作り方、絵の描き方、芝居の技など関連資料の整理に身を投じる。また、劇場で交流しながら影人作りの体験ができるエリア、児童劇場などを設けるなど、少しでも子供や若者に伝統芸能を理解してもらおうと工夫している。(ヒガシ)