北京
PM2.577
23/19
軍事科学院・陳薇氏
国慶節8連休中の6日目にお送りする今週の火曜ハイウェイ。北京のスタジオにいる燕アナと遼寧省盤錦市にいる斉鵬アナが電話でつないでお伝えします。
今年の大型連休の過ごし方にどのような特徴が見られたか、二人がそれぞれ体験したことを報告します。
CCTVの中継画面から
今日の番組のメニューは以下です。
▼旬な話題~国慶節8連休、高速鉄道の話題で持ちきり~CCTV【WEBライブ中継】(写真上)
▼取材予告~浙江省寧波市寧海県で見る中国の「小康社会」<質問募集中>
▼シリーズ企画④「新型コロナと戦うこの人」では、新型コロナの研究やワクチン・薬品開発で大きな成果を上げ、国家クラスの栄誉である「人民の英雄」が授与された軍事科学院生体工学研究所の陳薇所長をご紹介します。
2020年9月<今月の特別寄稿>
東京都 イタズラ爺さん・奥田正彦さん(85歳)
「プロフィール」
北京放送リスナー歴30年余り。故郷大阪府の池田市にある呉服神社(呉の国から渡来し、日本に機織技術を伝えたとされる織姫・呉服媛が祭られている)で日本と中国との文化的なつながりに感銘を受け、中学・高校時代から中国旅行を思い続けてきました。定年退職後、1997~99年シルバー留学生として北京や上海で遊学。篆刻とは35歳に出会い、中国で語学留学をしていた時、漢詩にこころを動かされ、帰国後「詩句印(漢詩から選んだ言葉をハンコに彫る)に取り組み、以来約20年にわたり詩句印を作り続けています。
秋の夕べ、山野をながめながら作った詩で、王績の作品中最も有名な『野望』から「采薇」を選びました。尾聯の最後「采薇」に関する資料を読むほどに心を惹かれたからです。
野 望
王績
東皋薄暮望 徙倚欲何依
樹樹皆秋色 山山唯落暉
牧人驅犢返 獵馬帶禽歸
相顧無相識 長歌懷采薇
東皋薄暮に望み 徙倚何にか依らんとす
樹樹皆秋色 山山唯だ落暉
牧人は犢を驅りて返り 猟馬は禽を帶びて帰る
相い顧みるに相識無ければ 長歌采薇を懐う
詩の内容は、「夕暮れ、東の丘に登り、あてどもなくさまよう。木々はすべて秋の紅葉、山々は夕陽の紅一色。牧夫たちは子牛を追いながら帰り、猟師たちは馬に獲物の鳥をさげて帰って行く。私は、辺りを見回しても知人はなく、ただ、声長く歌い、首陽山にこもってワラビを摘んだ伯夷・叔斉の、孤高の生涯を思うのである」というものです。
秋の夕暮れを美しく詠んで、一幅の絵画を見ているような詩ですが、ポイントは、最後の一句にあると思います。
采薇(わらびをとる)は、伯夷と叔斉は、殷の孤竹君の子で、父は弟の叔斉に跡を継がせようとしましたが、二人とも譲り合って国を出て、周の文王のもとに身を寄せました。文王の死後、息子の武王が殷の紂王を討とうとしたので、二人は臣下が主君を討つことはできないと忠言しましたが聞き入れられませんでした。周の統一後、周の禄を食むことを恥として「周の粟は食べない」と誓い、首陽山にこもってわらびを常食とする生活をおくり、ついには餓死したという故事です。
この故事に関して、孔子は『論語』において、伯夷・叔斉は事を憎んで人を憎まない人であるから怨みを抱いて死んだのではない、と評価しています。孟子は、伯夷は仕えるべき正しい君主でないと仕えなかった。交わるべき正しい友でないと交わらなかった。悪人が居る朝廷には立とうとせず、悪人とは口もきかない。などと語り、そして最後に、伯夷は潔癖で度量が狭い、と評しています。司馬遷は、伯夷・叔斉が悲惨な死を迎え、数千人もの罪もない人々を殺害した極悪人盗跖が天寿をまっとうして平穏な死を迎えた理不尽に対し、天道是か非かを問いかけています。後花園天皇は、長禄・寛正の飢饉の際に、伯夷叔斉の故事を引用して足利義政を諌める漢詩を詠み、そして徳川光圀(水戸黄門)は、18歳のころに読んだ伯夷列伝に感銘を受け、自分と兄の関係に重ね合わせ、それまでの蛮行を改め、学問を目指すきっかけとなり、『大日本史』編纂、さらには水戸学の端緒となりました。(参考文献:『唐詩選』岩波文庫ほか)
<質問募集のお願い/浙江省寧海県について聞いてみたいこと>
10月11日~17日に、「火曜ハイウェイ」は中国の「小康社会」(いくらかゆとりのある社会)作りの現場で起きていることにフォーカスして、浙江省寧波市寧海県で取材をする予定です。
今回は、主として寧海県の橋頭胡街道(広さ59平方キロメートル、人口3万人、1つの居民委員会と18の村落からなる)で取材します。地元で展開されているアートによる農村建設(芸術郷建)、および高齢化社会への対応にフォーカスします。
現地では、民宿など観光業で豊かになった村では、最近、現代アートを生かして、さらに一段と上を目指す新しい農村観光を目指す取り組みを始めています。一方、2019年1月現在、百歳になった方が96人もいる寧海県では、高齢者たちに健康で、生きがいのある老後生活を送ってもらえるよう、デイケアサービスの充実化などで工夫を凝らしています。
このような寧海県での取材において、ぜひ聞いてきてほしいこと、取材してほしい点などを教えてください。皆様のリクエストはriyubu@cri.com.cn宛にメールにてお聞かせください。リスナーの皆様と共に取材して、番組作りができることを私たちのこの上ない喜びです。
寧海県大佳何街道・葛家村(写真提供:寧海新聞総合広播)
寧海県橋頭胡街道・双林村(写真提供:寧海新聞総合広播)
<お便りの抜粋>
★千葉市中央区・ラジオネーム:ティーティーさん
今日の「新型コロナと戦うこの人」、先日、習主席がコロナ対策の功労者を表彰している場面をネット上で見ましたが、このときにチョウ氏もいたのですね。自らも難病を抱えながら、それでも人のために働くということは、中国人だろうが日本人だろうが、なかなかできることではありませね。国籍は関係なく、コロナと戦う人々に感謝したいと思います。
★名古屋市・ ゲンさん
北京の新国際空港だけでも8連休中に300万人の利用客が予想されるとのこと、驚きました。以前は、国慶節には豪華な月餅の贈答合戦が話題になっていたと記憶していますが、今はミニサイズのバラ売りが主流になって、過剰包装や食品の浪費を防ぐ運動の代表選手にもなっているようで環境問題を重視する地球人としては、良い時代になっているなぁ思います。
中華日本学会の年次総会・年次学会、学術シンポジウムの様子も興味深く聞きました。日本で問題になっていることが時差なく、細かくリアルに語られる時代になっていると実感しました。「陰謀論ばかりで論じてはだめ」という意見も、日本からみれば、とても新鮮に聞こえました。デカップリングとかサプライチェーンなど、新しい経済金融用語についていくのは私は「ハーハーゼーゼ―」あえいでいますが、中国語でも日本語でもない言語も地球人として学んでいかねばならないですね。
南京虐殺記念館の館長さんの「これからは箱物だけでなく、平和教育の基地にしたい。平和の花紫金草も、懺悔の花としてだけでなく、その花のもつ生命力に着想した活動をしていきたい」という未来志向に感動しました。
武漢金銀潭病院長の張定宇先生の、肺胞に達しているウィルス迄突き止められたことが 大きな治療につながったのですね。湖北省初の国境なき医師団の医師であったことも、初めて知りました。ご自身も難病に侵されながら、1人の医師を2人に割って働いてほしいと思われたほどの激務を乗り越えられたこと、心から尊敬します。張定宇医師は、残念ながら激務の中で感染して亡くなって逝かれた多くの医師の存在とともに、国家の栄誉賞を受賞されたと思っています。
★東京都大田区・三輪徳尋さん
「両国関係は流れに逆らって船を進めるようなもので、進まなければ押し戻されてしまう。」押し戻している流れの源流がどこにあるのか。いくつもの源流をひとつひとつ辿って源流点にたどり着けばきっととても小さな水滴が岩間から滴り落ちるようなものだろうと思います。そのひとしずくが船を進める大きな流になるか、船を押し戻す流れなるか、水滴になった時にはまだ意思をもっているとは思えません。
水滴が旅をする間に、小さな石ころや木っ端に道を示されて、徐々に大きな流れに変わって、しだいに意思を持ったかのように流れ出すのだろうと思います。一人の市民が大きな流れを変えることはなかなか難しいことだと思いますが、身近にある小さな源流点を見つけた時に、そっと船を隣国へ導く流れにその水滴が向かうように小石を置くことはできることだと思います。
様々な視点から、日本研究がなされて、日本の良いことも悪いことも、積極的に好意的に事象を捉えて検証していただき、研究していただていることはとても嬉しいことだと思います。
★北海道石狩市・上田知晴さん
林帝浣さんの漫画、放送後、ウェブサイトで楽しく拝見しました。ほのぼのとしたユーモアがたっぷりの漫画、なんとなく和みますね。もし、許されるのであれば、「私は知識の海で一匹の淡水魚」ってとても意味深々で、何となく身に覚えがあるなと感じることでもありますので、その漫画もウェブサイトに掲載頂ければ幸いです。(上田さん、お便り、どうもありがとうございます。掲載させていただきます↓)
(仮訳)知識の海では、自分が一匹の淡水魚にしか過ぎないと気づいた私(「小林漫画」提供)
次にCRIインタビューで小川会長がおっしゃっていました「コロナを受けて新しいビジネスへの期待」とのお話、私もまったく同感です。コロナで日本的に申せば新しい日常が始まっています。始まっているというよりは日常を新しく作り直していると言った方が正しいのかも知れません。新規構築ですから新しいビジネスが潜在していてそれは当然なのだとも思います。それを早く見つけて素早く立ち上げる、そうすることで経済も素早く立ち直っていくのだとも思います。昔がゆっくり戻ってくるのをじっと待つのもコロナ克服なのかもしれませんが、素早く立ち上げてコロナを過去の話にしてしまって、新しい経済を回していくこともコロナ克服の一つなのだとも思います。小川会長の一言に勇気をもらいました。新しい観光の切り口を早く探してみます。ありがとうございました。
そして、張伯礼先生のお話は興味深いお話ばかりでした。私達にはすっかり西洋医学の世界観が浸透してしまっているからでしょうか、 新型コロナウィルスはどうすれば根絶できるのか、それが根絶される日はいつ来るのか等、新型コロナウィルス自体のことばかり気にしていました。でも、中医学が注目する身体の健全化、それが、完全に実現されるならば、ウィルスがどうなろうとも、どう繁殖しようとも全く関係なくなり、そして、関係なくなることで失われた日常が容易に取り戻せるようにもなるのだと思います。それに、体の健全化を第一に考えるのであれば、副作用などを気にしなくても良さそうですから、張先生の中医学の成果に期待したいです。
同じ張先生、9/29に放送されました張定宇先生。素晴らしいですね。ALSという難病に侵されながらも2800人もの人々をお救いになられた人民英雄とのこと、ご無理をなさらない程度に世界の英雄にもなって頂けませんでしょうか。放送をお聴きしていると運び込まれた患者さんのわずかな異常から新型コロナウィルスの隠れた存在という大きな異常を見つけていらっしゃるのですね。今回放送頂きましたお二人の張先生はどちらも異常に接した時に、豊かな知識とご経験に基づかれた素早い発想の転換を行っていらっしゃるように思えました。場数を踏んで勉強しなきゃということですね。汗が出てきました(笑)。でも、何となく、新型コロナウィルスに負けることは絶対に無いと思えてきました。こんなに素晴らしい先生方が中国から世界中の人達の後ろを支えてくれているのですから。これで、又、前を向くことができます。
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