北京
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中国では多くの人がテレビやラジオ、劇場の中で北京フィルハーモニー合唱団の澄んだ子供の歌声に魅了され、心が洗われたことがあるでしょう。その懐かしく美しい歌声の後ろには楊鴻年という有名な指揮者の存在があります。今年7月26日にこの有名な児童合唱指揮者、音楽教育者は北京の病院で享年86歳の命を終えました。その音楽事業には終止符が打たれましたが、彼の名前は中国の児童合唱とこれからもりつながり続けていきます。今回の中国メロディーは楊鴻年教授の音楽人生をご紹介しましょう。
愛と献身
楊鴻年は1934年の南京生まれ。1958年に上海華東師範大学音楽学部に入学し、卒業後、中央音楽大学指揮学部で教鞭を執りました。1983年に子供合唱を中心とする北京フィルハーモニー合唱団を創設して以来30年、楊鴻年は合唱団を率いて、世界各地で公演してきました。
北京フィルハーモニー合唱団は「愛と献身」を趣旨としていますが、合唱団の創設者・楊鴻年もこれを座右の銘としていました。ここ30年来、彼はずっと「歌で人を育む」という原則を貫いてきました。彼の慈愛のまなざしは臆病な子供を勇敢にさせ、内気な子供に自信を持たせ、朴訥な子供を賢くさせてきました。楊鴻年が創設した児童合唱団は純粋に美しいハーモニーを奏で、不思議な統一感を持ち、世界一流の児童合唱団と肩を並べています。
合唱団大家族
楊鴻年は小さい頃から音楽が大好きでした。家は貧しいながらも、幸い中央大学ピアノ専門の包恩珠教授に音楽の才能を見出され、ピアノの教えを請うことができました。その後、包教授の援助の下、音楽大学の卒業を果たしました。後に教授となった楊鴻年は「恩師のように愛と献身を子供たちに伝えていきたい」と語っています。
楊鴻年は「私は生涯音楽が好きで、子供はもっと好きだ。リハーサルホールに入る度に、子供たちの純粋な歌声が聞こえ、世界が綺麗で優しくなるように感じる。目の前のあどけない小さな顔はどれも私たちの大切な宝物だ」と話しました。
時間との競争
楊鴻年教授は毎日忙しく、休憩時間さえもなかったそうです。中央音楽大学指揮学部の教師として、平日は大学で教学の仕事をこなさなければならず、週末と祝日は全て合唱団と子供たちに捧げました。楊鴻年教授は「教師は人間の魂のエンジニアであると言われる。特に審美教育に携わる教師は自分でより健康で美しい心を作るもので、これは偉大な事業である」と話しました。
楊鴻年教授は亡くなりましたが、彼の愛は何時までも子供たちの音楽の道を照らしていくことでしょう。
番組の中でお送りした曲
1曲目 回声(こだま)
歌詞:
こだま 美しいこだま
どこ?どこに隠れているのかな?
ハハハハ
それは笑い声を立てて
なんと面白いことか
歌を歌ってください
歌って聞かせてください
2曲目 猜調(謎をあてる)
この曲は雲南省の有名な民謡として広く歌われています。
歌詞:
いい子よ
私が謎なぞを言うので
みんなで当ててみてください
何が長く 天まで昇る?
どのように長く 海の真ん中に伸びる?
天の川が長く 天に昇る
蓮根が長く 海の真ん中に伸びる
3曲目 送別(旅愁)
この曲はアメリカの歌をアレンジしたものです。
歌詞:
町外れの古びた道には
草花の緑が地の果てまで続いている
夕方に吹く風はヤナギの枝を払うかのように揺れ
笛の音はだんだんと消えて行く
夕日が奥山に沈もうとしている
天の涯 地の果てに
友人ももう半ば死んで亡くなっていよう
一杯の濁醪 最後の名残を楽もう
今夜は別れの後の眠り 寒々としていよう