北京
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湖北省保康県は7割以上がカルスト地形のため、地下に鍾乳洞や地下河川を多く抱えるという複雑な地形に囲まれています。地元住民は昔から雨水や雪溶け水を飲み水に利用していました。2017年に、保康県馬良鎮趙家山村は、様々な困難を乗り越えて、村で初めての井戸掘りに成功し、雨水に頼る歴史を終えました。またそれにより、産業発展が図られ、暮らしに大きな改善が見られました。
村民張継濤さんの自宅を訪れると、お茶が出されました。しかし、井戸が出来る4年前までは、美味しいお茶を飲むことすら贅沢だったといいます。「飲み水が濁っていました。すべて天気次第だったんです。雨が降れば飲み水がありますが、降らなければ全くありません」
趙家山村の厳しい状況に保康県の張世偉県長は大変気にかかり、生活用水の難題を何とか解決しようと心を決めました。
しかし、複雑な地形にある地元で井戸を掘ることはそう簡単なことではありません。最初の2回は失敗に終わりました。その後、湖北省地質調査院の専門家を招いて、井戸掘りの場所を決めるのを助けてもらった結果、やっとのことで水が地下から沸いてきたということです。
それは2017年4月1日のことでした。午前9時から作業が始められ、地下483メートルのところまで達した午後1時過ぎ、きれいな水がぐんぐん沸いてきたのです。その様子を張さん一家はいまでも覚えています。「みんな大喜びで、お年寄りも飛び上がるほどでした。爆竹を鳴らして、大いにお祝いをしました」
嬉しいことに、この井戸から毎日100立方メートルの水が出ているため、800人の飲用水問題が解決されています。さらにその後、各家庭に水道管が敷設されたので、蛇口をひねるだけで水を利用できるようになりました。そのお陰で、養豚をしている村民の王樹強さんは、事業拡大を図るようになりました。わずか2年で、王さんが養殖している豚の数は4頭から60数頭まで増えました。飼料販売も含めて、去年は数十万元の収入になったということです。
趙家山村は井戸堀りの経験をほかの村にも広め、これまで10の井戸が出来、3万3000人の飲用水問題が解決されています。
「小康社会に向かう中国人の暮らし」、今回はカルスト地形のため飲用水で困っていた湖北省保康県の変化についてお伝えしました。お相手は王秀閣でした。ではまた来週。さようなら。(閣、CK)