北京
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発足から30年を迎えた中国の民間学術団体「中華日本学会」は27日、2020年の年次会議並びに学術シンポジウムを北京で開きました。全国から理事320人余りが出席し、コロナ後、最も多くの日本研究者が実際に集まって開かれた大会となりました。
会場の様子
シンポジウムは「平成から令和へ 日本の発展の歩みと今後の展望」をテーマに、全体会議と、同時進行で開かれた4つの分科会からなりました。
全体会議で基調講演を行う程永華氏
中日友好協会常務副会長で、元中国駐日大使の程永華氏は全体会議で基調演説を行い、「中日は変わることのない隣人であり、中日関係の重要性も一時的な出来事によって変わるものではない。長期にわたる安定した友好協力の両国関係は、両国と両国民の根本的利益に合致する」と訴えました。また、全体会議のテーマ報告の部では、復旦大学日本研究センターの胡令遠主任教授、東北師範大学の韓東育教授(副総長)、中国人民大学国際関係学院の黄大慧教授(副院長)がそれぞれ、中国における日本研究の出発点、方法論、東アジアの視点から見た中日関係をめぐり発表を行いました。
午後の分科会では、全国の各大学や研究所からの研究者40人余りが政治・外交安全、経済・社会、歴史・文化の各テーマに分かれて発表し、ディスカッションを行いました。発表者は、7年8カ月にわたり続いた安倍政権と、発足したばかりの菅政権を背景に、現在の日本と中日関係を体系的に分析しました。その中では、中日関係を地域的視点や多国間の視点から捉えた分析も数多く見られました。
総括の発言を行う楊伯江常務副会長
閉会前では第7回中華日本学会の楊伯江常務副会長(中国社会科学院日本研究所所長)が総括発言を行いました。その中で楊副会長は「一番の収穫は、答えを見つけたこと以上に、新しい問題を発見したことだ」と述べ、「研究とは、研究者が自身の主観性を超えて、事実と真理に限りなく近づこうと努力するプロセスである。中華民族の偉大なる復興の実現には、中国自身の成長と成熟、中国人の認知能力の強化、認知レベルの向上が必要である。この中には、世界と日本に対する認識も含まれている」と話しました。そのうえで、「中日関係は常に伝統と現在、歴史と現実、共通利益とゼロサムゲームの狭間に置かれている。そういう特徴から、流れに逆らって船を進めるのと同じように、進まなければ押し流されてしまう恐れがある。流れに身を任せるのはなく、理論の革新に励み続けていく必要がある」と日本研究に求められる姿勢を協調しました。さらに、今後の日本研究に対して、「日本研究の独立した価値を見つけ出すこと」と、「二国間関係に見られる多国間化のトレンドを視野に入れて中日関係を研究すること」の必要性を訴えました。
中華日本学会は1990 年 に発足した中国全土の日本研究者からなる民間学術団体で、主に会費と中国社会科学院からの助成金で運営されています。現在は約100組の団体会員を含めた1000人余りの研究者が会員となっています。今回開かれた2020年年次会議と学術シンポジウムは中国社会科学院日本研究所と中国人民大学国際関係学院が運営し、投票によって中国社会科学院日本研究所の高洪研究員を会長とする新体制が発足しました。なお、来年の年次会議は2021年4月に南京市で開催されるということです。
参会者の記念撮影・北京友誼賓館にて
(取材:王小燕、写真:韓永順)