北京
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カンヌ、ベルリンと並んで世界三大映画祭の一つに数えられ、毎年イタリア北部・ヴェネツィアのリド島で開催されるヴェネツィア国際映画祭。最終日の現地時間12日夜(北京時間13日未明)に授賞式が行われ、コンペティション部門に出品された中国系監督クロエ・ジャオ(趙婷)の新作『ノマドランド(中国題:無依之地)』が、グランプリである金獅子賞を受賞しました。
米国で活動中の中国系女性監督、クロエ・ジャオ(趙婷)
クロエ・ジャオは北京生まれで中国の人気女優、宋丹丹(ソン・ダンダン)の養女としても知られています。ニューヨーク大学芸術学部で映画制作を専攻したあと、現在も引き続き米国で監督活動をしています。その長編デビュー作『Songs My Brothers Taught Me』が2015年にサンダンス映画祭に出品され、2作目の『ザ・ライダー』(2017)も国際的に好評を博し、第33回インディペンデント・スピリット賞の作品賞と監督賞へのノミネートを果たしました。今回の受賞作『ノマドランド(中国題:無依之地)』は、これまでにアカデミー賞・エミー賞・トニー賞の米演劇三冠王を達成した女優のフランシス・マクドーマンドを迎え、リーマンショック後、「現代のノマド」として過酷な労働現場を行きぬく女性の姿を描くヒューマンドラマに仕上がっています。
趙婷(クロエ・ジャオ)監督の新作『ノマドランド(中国題:無依之地)』のスチール写真
中国系監督の作品が2000年代以降に金獅子賞を受賞したのは、2005年の李安(アン・リー)監督の『ブロークバック・マウンテン(中国題:断背山)』、2006年の賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督の『長江哀歌(原題:三峡好人)』、2007年の李安(アン・リー)監督の『ラスト、コーション(原題:色,戒)』に次いで4回目となりました。
米メディアの予測では、この作品は米アカデミー賞最優秀監督賞にノミネートされる可能性も出ており、受賞が決まれば、初のアジア系女性監督の監督賞受賞になると期待されています。
一方で、同コンペティション部門に出品された黒沢清監督の『スパイの妻』が監督賞の銀獅子賞に選ばれました。(ミン・イヒョウ、星)