北京
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23/19
新型コロナ禍が食糧安全にもたらす影響を懸念して、習近平国家主席は8月中旬に「立法と監督管理を強化し、効果的かつ持続的なメカニズムを構築して、食品の浪費を食い止める」と強調した。
食品の浪費を食い止めるためには、消費者と供給側の双方が取り組む必要があるだろう。まず、消費者は食べ物を大切にするという意識を持ち、食べられる分しか注文せず、残しても持ち帰るという常識を持たねばならない。中国では数年前から若者を中心に、注文したものをきれいに食べ切るという「光盤行動(空の皿運動)」が行われてきた。供給側の方を見ても、少なくとも北京の飲食店では食べ残すと持ち帰るかどうか確認される。中には注文の段階で「食べ切れないのでは」と確認してくれる店もある。それでも、未だに浪費を目にするのはどういうことなのか。
中国は広いため、地域によって宴会や客をもてなす食卓の文化が異なる。江南地方では様々な料理を小さい皿に盛りつけてテーブルいっぱいに並べる。北方では大皿料理を積み上げていく。日本からの旅行客が中国に来て、困ることの一つは料理の注文だろう。人数が少ないと存分に楽しめず、何品も注文すると食べきれない。旅行中ならホテルに持ち帰っても仕方ないだろう。実は、地元の人間でさえ、家に持ち帰った後で捨ててしまう場合は少なくないという。味が落ちてしまうからだ。
そんな中、注文数を減らすよう呼びかけるなどの対策(※)を取る飲食店も出てきているが、消費者が求めるのは一品ごとの量の調整だろう。実際に一部では半人前の分量や小皿料理を扱う店も出てきている。元来、賑やかな食卓を愛する中国ではあるが、一消費者としては時代に合わせて「おひとりさま」ができる店がさらに増えると嬉しい。
中国消費者協会はこのほど、飲食業界に対して「料理の分量の基準整備」「正確な情報の提供」「消費者の需要に応じたサービスの提供」を呼びかけた。表面上だけではない、きめ細かな管理による浪費の抑制に期待がかかる。
*注文数を減らす呼びかけ:N-1、N-2などと呼ばれる浪費削減の取組み。テーブルの人数から1(あるいは2)マイナスした品数の注文を呼びかけるもの。
(CRI日本語部論説員)