北京
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蒙古族の歌と言えば、広々とした大地を思わせるような民謡を思い浮かべる人が多いかもしれません。今週と来週の中国メロディーの主人公・ハリンはしなやかで美しい歌声で人々の心を打ち、蒙古族音楽のまた違った魅力を感じさせてくれます。
蒙古族音楽の新たな魅力
ハリンは蒙古族トルグート部第15代王女で、美貌と美声の持ち主です。その素朴で温かい歌声は女性の魅力に溢れ、数えきれない人々に感動を与えています。彼女の歌声を通じて今までのイメージとはまた違った蒙古族音楽の魅力が花開いたと言えるでしょう。
蒙古族音楽について、ハリンは「わが民族音楽は長調もホーミーもみな深い感情を伝えていて、故郷や親ひいては馬や駱駝を歌う時でも深い感情がその中にこめられている。古来より蒙古族は見渡す限りの大草原に暮らし、親友も家族も遠く離れ、数年に一度しか会えなかった。遠くの肉親や友人を思うと、心の中の深い愛情が歌声と共に流れてくる」と話しています。
トルグート部すべての親友と共に草原を讃える
ハリンは歴史的小説に登場するかのような家族の生まれです。祖父が蒙古族トルグート部第13代の部族長で、祖母のもとで育った彼女は幼いころから多くのトルグートの民謡と物語を耳にしてきました。
トルグートはその歴史的な集落として知られています。17世紀30年代、十数万人のトルグート人が新疆ウィグル自治区イリ地方からヴォルガ河畔に移住したことがありますが、18世紀初め、ツァーリの専制に耐えられないため、ツァーリの封鎖を突き破り、辛苦をなめて祖国に帰還しました。この事件は「トルグートの東帰り」と呼ばれています。
トルグート部第15代王女としてハリンが舞台に立った時、自分一人で歌うのではなく、トルグート部すべての親友と共に、草原を讃えるような気持ちだ」と語っています。
草原の王女 トルグートの民族・文化に強い愛着
草原に生まれ育ったハリンは故郷の民族・文化に強い愛着を持っています。
彼女は「私たちは小さい時から上の世代から民族の歴史上の様々な物語を聞いている。最も印象深く、夢にまでよく見るシーンは、昔トルグート人がロシア軍の追撃から逃げ、ヴォルガ河畔からモンゴル草原に戻る途中で経験した様々な苦労だ。 1771年1月5日、暴君の統治に耐え兼ね、トルグート人は東帰りのラッパを鳴り響かせた。その時は一年で最も寒い時期だった。数万人のトルグート人女性と子供がリュージュの車に乗ったり、ラクダに乗ったりして、騎兵の保護の下で遠い東方へ出発し、太陽が昇るところへ長い旅を始めた」と語りました。
小さい頃からこれらのトルグート人の歴史を聞いて育ったハリンは故郷の文化に高い誇りを持っています。「自分の民族が豊富な音楽を与えてくれることや故郷・エジーナ、そして家族の愛情に感謝し、生活を愛している。このすべてが私に諦めない力を与えてくれた」と話しました。
番組の中でお送りした曲
1曲目 遥远的妈妈(遠いお母さん)
歌詞:
光陰矢の如し
母さんが生命を与えてくれた
小さい時この世界は美しいと思った
今やっとわかった
あなたが一番美しいものを私に残してくれたからだ
2曲目 故乡(故郷)
歌詞:
多くの馬が飛ぶように
千山万水を越えて
限りない草原を踏破する
空から降りてきた優しい雨
親の純潔な心のようで
永遠の愛を故郷に残す
3曲目 土尔扈特故乡(トルグート故郷)
歌詞:
幾重にも重なる丘の上で
白い霧に包まれる
トルグートは我が故郷で
昼も夜も恋しい
トルグート わが美しい故郷
四季が恋しい