北京
PM2.577
23/19
担当:王小燕、梅田謙
「藍天白雲」・快晴の北京(5月28日、平文智撮影)
2020年も6月に入りました。北京では週明けの1日に、高校1年、2年、中学1年、2年、小学校6年生の計40万人が学校に戻り、新学期の開始を迎えました。北京市内では、車のナンバープレートの末尾番号による走行規制が約4ヶ月ぶりに再開しました。CRI日本語部では、これまでにテレワークがメインの出勤態勢は1日から正常に戻りました。オフィスの中でも、町を行き交う人もマスク姿のままですが、感染症で閉ざされていた「日常」が、少しずつ戻ってきています。
さて、今週は斉鵬アナが休みのため、ピンチヒッターに梅田謙記者にスタジオに来てもらいました。斉鵬・梅田コンビは、本来はタッグを組んで人民大会堂などで全人代を取材する予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けに、ついに実現できませんでした。
今週の番組は、まずは、斉鵬アナによる今年の全人代取材の総括リポート。続いて、「旬な話題」では、中国で正式に成立した「民法典」をめぐり、中国の私法(個人の権利・義務など市民の社会的生活関係を規律する法)体系の確立にとっての意義、「未成年者の法律行為」に関する条文で8歳という区切りを導入したことの意味すること、「離婚冷静期間」を導入することの背景などを取り上げます。
後半は、「CRIインタビュー」です。今週は政治学者の目に映った新型コロナウイルスのパンデミックと今後の世界いうテーマをめぐり、中国社会科学院日本研究所の楊伯江所長にお話を伺います。
中国社会科学院日本研究所・楊伯江所長
<お便りの抜粋>
★高知県四万十市右山五月町・杉村和男さん
19日の放送、お聴きしました。中国の呼吸器科権威、鐘南山氏、天津医薬大学総長、張伯礼氏の、「インフルエンザ・ウイルスと同等レベル扱いすべきでない」、「ワクチンについて、それほど楽観視していない」、「新型コロナウイルスと温度との明確な関係は無い。気温の高いインドネシア、インドで感染拡大していることからマスクを習慣付け、向こう一年は外さない方が良い」などのコメントは大変興味を持って拝聴し、大いに共感するところです。初夏、真夏であっても、マスクは着用したままにするということですね。これから夏を迎える日本でも、「夏になれば、インフルエンザのように落ち着くのではないか」という楽観論が出てきています。夏は昼が長く、海へ出かけたり、山へ出かけたり、ただでさえ、活動的になる季節です。夏であっても、やはり気を引き締めないと危ないということですね。
更に、「中国人に新型コロナウイルスの免疫力はついておらず、感染しやすい状態にある。第2波発生の可能性に直面している。外国より中国が良い状況に有るとは考えていない」というコメントは、日本にも、同様なことが言えると思います。「災害(コロナウイルス感染)は自分には起こらないだろう」という正常性バイアスの心理が日本人には多かれ少なかれ有り、緊急事態宣言が解除された日本で、これからのことが大変懸念されます。
5月9日以来、武漢市の団地で6人の感染確認、吉林省、遼寧省でクラスターが発生、29人陽性確認、8000人隔離とのこと、心配ですね。一方、黒竜江省の患者409人全て退院、死者ゼロということで、こちらは良かったですね。
高知県に住んでいて、中国の中で、ほとんど情報の入らないのが東北部の吉林省や黒竜江省の出来事です。新型コロナの件は気がかりですが、その他、歴史文化、観光、イベントなど、ご紹介していただけたら有り難いです。
お便り紹介の中で、中国と日本との認識についての温度差のようなものについて、斉鵬さんが話されていたように、この放送を聴くことは、とても有効と思います。王小燕さんも、斉鵬さんも、日本と理解を深めよう、仲良くしようと、一生懸命、放送してくださっています。そのことが放送を聴くことで、ひしひしと伝わってきます。私の下手な文章のお便り、こちらの花や風景写真まで紹介してくださって、今、コロナウイルスで自粛が続く中、生活さえ、ままならない状況の中にあって、それは大きな喜びであり、励みにもなります。こういう時だからこそ、そんな一つの喜びが、どれだけ貴重なものか、大いに実感しています。四万十市の森沢(もりさわ)、田野川(たのかわ)、敷地(しきじ)といった小さな集落の名前が世に出ることなど、これまで無かったことでしょう。地元の方々も、感動、感激されていることと思います。
四万十市田野川に咲く「舞鶴天南星」(5月23日、杉村和男撮影)
さて、今回、添付している写真は、マイヅルテンナンショウ(舞鶴天南星)という花です。名は、鶴が羽ばたいている姿に見えることによります。そう見えますでしょうか。名前を付けた人の想像力は素晴らしいな、と感じます。
花も葉も茎も全て緑色なので、花と言うより、観葉植物みたいですね。保護対象種になっていて、高知県の条例で、無断で採取すると、50万円以下の罰金が科せられるという植物でもあります。(たのかわ)で、撮影しました。
四万十市田野川の桑の実(5月23日、杉村和男撮影)
クワ(桑)の実です。日本で有名な童謡「赤とんぼ」の2番の歌詞で、「山の畑の、桑の実を、小籠(こかご)に、摘んだは、幻か」と出てきますが、この桑の実がこれです。かつて、1980年代頃までは養蚕組合が有って、蚕(かいこ)の餌として、桑の木の植えられた畑が所々に有りました。1990年代以降、養蚕業の衰退と共に、桑の木は放棄されて藪になったり、伐採されたりして、たわわに実のなったクワの木を見ることは少なくなりました。黒く熟した実は美味で、アントシアニンを多く含み、ブルーベリーに似た甘く懐かしい味がします。同じく5月23日、四万十市田野川(たのかわ)で、撮影しました。
四万十市中村東町に咲くムシトリナデシコの花(5月23日、杉村和男撮影)
一昨年も、お送りしたように思います。北海道富良野のラベンダー畑(ファーム富田・彩りの畑)で、ラベンダーと共に植えられる、濃いピンク色の花です。5月23日、四万十市中村東町(なかむらひがしまち)3丁目、中村中学校(なかむらちゅうがっこう)の近くで撮影しました。こちらで今咲いているということは、高知の今と北海道の7月が同じくらいの気温ということになりますね。
日本でも、新型コロナウイルスのニュース、番組ばかりになりました。営業自粛要請が出されたこともあって、観光、飲食業など、経済は大打撃を受けています。すると経済の専門家が経済のことだけについて、持論を述べています。それで良いのかと思うのです。新型コロナウイルスの背景には自然環境が大きく関わっていると思います。自然の営みから逸脱しない経済の仕組みを構築すべきだと感じます。仮に新型コロナウイルスを克服したとしても、また、どこかで新しいウイルスは必ず現れます。それが自然です。従来の景気回復策では、また今と同じ過ちを繰り返すことになります。経済の基準は、ほぼ数字です。自然は、数字で解釈できるものでは有りません。何故、そこにマイヅルテンナンショウが生えているか、数式で表せるものではありません。経済学者が論じるのであれば、自然環境を十分学習し、自然を土台にしたうえで、経済について議論すべきではないでしょうか。
★北海道石狩市・上田知晴さん
日本では国全体の非常事態宣言が解除されました。私が住む北海道では、中国で人気が高い鈴木知事がいち早く、解除はゼロリスクではないとして、北海道としても自粛継続を掲げられた他、コロナと暮らす、つまりwith コロナで新生活様式の定着とそれによる経済の回復を「新北海道スタイル」として謳ってくれました。きっと、この辺りの行動力・指導力が中国で人気を集めている一つの要因なのかもしれません。
私は知事のこの一連の指導力に感謝しています。お客様を集めないと仕事にならない観光業において、お客様に安心しておいで頂くための要素やお客様が安心してご利用するための要素を、お客様と私達事業者の双方の観点でしなければならないことを明確に打ち出してくれているからです。そして、その中で、「工夫が工夫を呼ぶ」といった未来志向なことも謳ってくれました。私はこれこそが正に北海道における新経済だと思います。
まだまだ私自身、新経済をもっと勉強しなければなりませんが、今、現時点において強く思うのは、これまでの生活を全く同じに取り戻すことは至難の業であろうこと。だからこそ、これまでの生活に依拠した、もしくは類似した新しい生活を一から作り直していかねばならないであろうということです。言い換えるならば、一から作り直すのでもなく、新しい常識を新しく作るということなのでしょう。新しい時代を私達が新しい発想で作るなんて素晴らしいではありませんか。コロナと暮らす新しいコロナ時代、世界中のみんなで手をつないで一緒に作りませんか。いろんなものが新しく芽吹く、コロナの時代、前と上を向いてどんな芽が芽吹くのか楽しみにしたいと思います。
★東京都大田区・三輪徳尋さん
「小康社会の実現」は大きな関心事項です。日本でも貧困は社会問題となっています。貧困脱却のプロセスでは教育が重要であると、斉鵬さんのインタビューでも語られていましたが、貧困問題と密接な関係にあるのが教育だと私も思います。収入の格差が一概にはいえませんが、学習環境の格差となって、貧困が学力の低下を招いていると考えられています。当然、学力や経験の差が将来の就職や生涯収入の格差となると思います。十分な教育を受けることが出来なかった子供たちが親となれば格差の連鎖が続くことになってしまうと思います。
こうした貧困者の増加は、所得額に対して課税していることから、一定の水準を下回る低所得であれば、納税免除となり、結果として国や地方自治体が衰退することにつながっていると思います。ウイルス感染の抑制だけではなく、このテーマにおいても、中日両国が知恵を出し合って、助け合うことが出きると思います。
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